消失

初演は10年ほど前だということに驚いた。
時代(現実)が脚本に近づいている。
もちろん、脚本は狂気の沙汰なワケで。
ちょっと立ち直れないほどの衝撃を受ける「名作」だ。
ただ、この芝居が「熱海殺人事件」みたいに10回も20回も上演されることはないのはわかる。
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熱海殺人事件

「うん、いい火加減だ」
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春風亭一之輔独演会

生一之輔は2回目
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IMG_1612
高座とはまさにこのことかというくらい高いところから落語を
寒い冬にお寺で聴く落語・・・なかなかいい感じ。
芝浜も生で聴いたの初めてで、
どちらかっていうと味噌蔵のような方が私も好きな噺だ。
だけど、年末には「芝浜」聴いて年越しってのがツウのようだ。

ツインズ

何故買ったのか、理由はわからない。
twins
12348107_10205126347825839_8788447544031633143_n
http://www.parco-play.com/web/program/twins/
正直、残念ながら、木曜日にみた「TUSK TUSK」に圧倒的に負けている。
演劇は「この世にないこと」を演じられることが魅力なのに、
現実が芝居を超えている。それを隠した分だけ曖昧に、そしてそのテーマは演じる必要がないのではないのか?(日本では)

「渚にて」と「2001年宇宙の旅」を足したような、
そして、遺産相続話は「犬神家」なのか?
家政婦も出てきて、
要素は揃ったみたいな・・・。

斬新なところは
「Life」で「食べる側と食べられる側では食べられる側が実は勝者ではないか」
という一節があった、それを熱く語る「吉田剛太郎」の独白シーンはかなりグッときた。
あと、
コーヒー
ボンゴレビアンコのパスタ
パエリア
食べ物の香りがする芝居「おにぎりの『断食』以来」かな・・・

TUSK TUSK

「TUSK」とは象などの牙を意味しているらしい。
http://www.owlspot.jp/performance/151210.html
ph_151210
今年見た芝居で一番衝撃をうけたものかもしれない。
子ども・子役は嫌いだが、これはそういう概念を吹っ飛ばす。
社会の問題をそのままのど元に突きつけられた。
舞台には笑いは一瞬たりともない。
これだけの絶望を見せつけられたのは、
・・・
「人情紙風船」
「子猫をお願い」
以来かもしれない。
・・・
「モーリー・スウィーニー」
「ヌードマウス」
「TOKYOスラムエンジェル」
「従軍中のヴィトゲンシュタインは・・・(以下略)」
に繋がるものか。
思えば、
「死と乙女」
「マクベス」(佐々木蔵之介)
Lost Memory Theatre」
「ストレンジ・フルーツ」
「国道58号戦線異状ナシ」
演出だけのもの、脚本提供も随分みた。

俺とあがさと彬と酒と『ふたりマクベス、ほか短編』の年末やら、
どうやら、ダルカラはこれだけ見ているみたいだ。

  • 第11回公演『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』作・演出(2012年3月~4月、東京・アトリエ春風舎/新潟・新潟りゅーとぴあ主劇場/仙台・せんだい演劇工房10-BOX box-4/京都・アトリエ劇研/大阪・in→dependent theatre 1st/広島・レイノホール/東京・アトリエ春風舎)
  • 第12回公演『完全版・人間失格』作・演出(2012年11月、こどもの城 青山円形劇場
  • 若手企画公演『プルーフ/証明』翻訳・演出(2013年5月~6月、シアター風姿花伝)
  • プロデュース公演『最後の精神分析 ─フロイトVSルイス─』翻訳・演出(2013年10月、日暮里d-倉庫)
  • 第13回本公演『アクアリウム』作・演出(2013年12月~2014年3月、東京・シアター風姿花伝/福岡・ぽんプラザホール/大阪・in→dependent theatre 2nd/仙台・せんだい演劇工房10-Box box-2/岡山・天神山文化プラザ)
  • 番外公演『プルーフ/証明』翻訳・演出(2014年5月~6月、サンモールスタジオ)
  • 第14回本公演『音楽劇・河童』作・演出(2014年7月、吉祥寺シアター
  • 第15回本公演『夏目漱石とねこ』作・演出(2015年2月、座・高円寺1)
  • Mrs.fictions『15 minutes made vol.13』参加作品『全肯定少女ゆめあ』作・演出(2015年8月、王子小劇場)
  • 第16回本公演『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』作・演出(2015年8月~9月、東京・王子スタジオ1/大阪・in→dependent theatre 2nd/岡山・天神山文化プラザ)

才原警部の終わらない明日

saibara
なんともひどいコメディだ。
ASH&Dなのか、ムロツヨシなのか、シティボーイズなのか、
いやはや、劇団新感線も・・・・
これだけはちゃめちゃなことをやれて役者も演出家も幸せなことだろう。
楽しませてもらった。
文句言いたいことは沢山あるけど、
たまにこういうの見せて貰うと嬉しい。
けど、やっぱりやるならシアタートラムなのではないのだろうか(^_^)
好きか嫌いかというと、こういうのばかりみていたのが私の演劇人生
(シティボーイズライブはこんな感じだったな・・・と)

池袋演芸場

「池袋演芸場」
http://www.ike-en.com/index2.html

林家なな子 平林
古今亭志ん陽 壺算
蜃気楼龍玉 強情灸
三遊亭歌る多 宗論
柳家小ゑん ぐつぐつ
古今亭菊太郎 替わり目
金原亭馬生 けいこ屋
桃月庵白酒 松曳き
話を覚えていて、家に帰って調べる。なかなか苦労した。

しかし、演芸場に行くなんてのは「ついでで見たことはあるんだけど」初めて(独演会は何度か行ったことがある)。松曳きは2014年博多天神落語祭りの録画で白酒の演目を見ている(同じ人だけに覚えていた)。他は知らないものばかり。正直、どの演目も面白かった・・・。初めての寄席が「池袋」ってのは「ない」と誰かが言っていたけど、確かに濃い。なんか、客層も特殊みたいで、200人くらいの席は満席だった・・・。これだけ楽しんで2000円。映画やばいじゃんと思ってしまった。
終わって出ると、夜の部の列ができていた。

ブロッケンの妖怪

brocken
http://www.tohostage.com/brocken/
初めての「シアター1010」
1010人入るのか、千住なのか、そこはわからない。
千住で降りるのは何年ぶりだろう。
めっきり綺麗な町になっている。
前週に行った王子神谷から千住にはバスが出ているから、
似たところに2週連続行ったのかもしれない。

ブロッケン現象とパラレルワールドと、倉持ワールド炸裂。
一人二役というか、あっちの世界とこっちの世界にいる人と、
こっちの世界にしかいない人と、

なかなか見事な演出だった。
佐々木希の衣装七変化がよかった。
千住まで行った甲斐があったというもの。
PPPPの役者で固めたのではないのもお見事。
(虹とマーブルは団員が七変化していたのが圧巻だったけど、今回はそのバリエーションとして)
「パラレルワールド」を持ってきたのは見事だ。
ドッペルゲンガーに出逢ったら「死ぬ」というのがあるが、
この場合同時に2人は出ることはできない、
と思ったら、妙技があった。
流石、NHKのコントで鍛えられたのか・・・・。
(1)一端引っ込んで、人が入れ替わる
(2)映像で遠景に登場させる
(3)出張中とする
(4)そっちの世界にはいないことにする。

倉持裕と竹中直人の会とは違った(2016年追記)

従軍中の若き哲学者・・・(以下略)

スクリーンショット 2015-12-13 22.22.36

ゾンビ考現学

zonbi
ゾンビというと、私にとっては入江雅人
この演劇を知ったのは「鴻森久仁男」率いる劇団の芝居を昨年の江古田ユニバースで見たから。
吼えろ!ショーリューケン!
なる芝居を2014年10月に見ている。
そんな縁でFaceBookの友達となったのは10月、申請は7月にあった(10月になって気がついた)。
で縁あって、観に行った。
前の週には「入江雅人グレート一人芝居」を見ていたので、
ゾンビモード全開なわけである。
すごい芝居になりそうな期待を抱かせながら100分が過ぎた。
実は、劇場外まで舞台は延長されていて、
あの道ばたにいる「ゾンビ」、
知らなかったら大変なことになっていた。
何と言っても2000円はすごいだろう。
27席満席だった。
右隣の人が異常なまでに股開いて座っていること。
3つ左隣の人がドンビキするくらい場違いな笑いをすること。
前列のお客さんが開演中にスマホのFaceBookのやりとりをすること。
右前の席の人(最前列)が上演中、首をうなだれたこと(ゾンビになったかと思った)。
以外は応援したい気持ちになった。
正直言うと、入江雅人なら25分で上演するだろうし、
野田秀樹でも75分には収まると思う。
けど、それが若さなんだろうし。

なんといっても、
10月25日に再度「王子神谷」に出かけてしまったくらい。
その土地のパワーは大きい。
神谷橋庚申通商店街
https://flic.kr/s/aHskjoZozN

入江雅人グレート一人芝居「マイ ゴールデン ヒッツ」


入江雅人の存在は、多分、劇団シャララ・・・とか、水野美紀のプロペラ犬の演出とかがきっかけ。
201507310000_b
客席に置かれていた豪華パンフレットから推定すると、
No10の頃から見ているようだ。

今回、会場に貼ってある予定表を見ていたら、痛い目にあってしまった。
18:00〜20:15
なるほど、普通の一人芝居だと思った。
が、
19:45くらいに、素になった入江雅人は「今までのが第一部で、今回は第三部まであります」
という強烈なメッセージを・・・・。
終演は20:45を回っていた。

「ブロークバックマウンテン」
山に登る話と、超能力者の話

「RUN FOR THER DREAM」
疲れたサラリーマンが雑念を捨てて夢に走る話

「蘇る劇団松田優作」
松田優作に取り憑かれた男の劇団解散公演の話

「ナレーション人生」
ある男の一生の物語

「500」
時代が変わるとこんなにメッセージの強い話になる。
何人かで呑もうよから、大きなウェーブをもたらす話

以上第一部

第二部
舞台上で休憩する「主演役者」
主演役者選曲の音楽鑑賞の時間
客席からの質疑応答(twitter炎上秘話)
小ネタ(カーナビ、吉田羊・薬師丸ひろ子・郷ひろみ・渡部篤郎)

第三部
「東京大パニックめがね」(大作)

こんなに元気をもらって、背中おしてくれてありがとうと言いたい。
しかも、この人のすごいのは、豪華パンフレットを何気なくチラシと一緒に置いてしまっていること(^_^)
BGMに使っている選曲はかなり「凝っている」
微妙にズラしているんだけど、
「ツァラトゥストラはかく語りき」(2001年宇宙の旅)
「カバレリア・ルスティカーナ間奏曲」
「遠すぎた橋」・・・サントラ盤に加えて、吹奏楽版が・・・悔しい演出だ。
「アラビアのロレンス」
知る人ぞ知る曲を勿体ないくらい上手に使いこなしている(板についている)。
映画狂ここにありという感じだ。その理由はプログラムに書いてあった。
(そういえば、私も中学3年生のとき・高校2年の頃、結構映画見たんだけど、それは同じような
理由なのかもしれない)

死ぬまで一人芝居続けるととりあえず宣言していたが、
とりあえず、マルセ太郎を目指して欲しい。

前に見たのは五人芝居のタイムスリップもの「
デスペラード
その前は中野で「
グレート二人芝居
前回の一人芝居は「
サマー・オブ・ザ・デッド
どれもこれも「号泣」しそうになってしまう。
実はこの「帰郷」はかなりヤバイ。名作中の名作だ。
そして、今回の5作も「名作中の名作」であることは間違いない。

大逆走

スクリーンショット 2015-10-18 12.54.21
豪華なメンバー
豪華な舞台
豪華な劇場
でもとても残念な・・・。

吉高由里子の初舞台であることがなければ怒っちゃったかもしれない。
台詞の戯れは「この世は意味がないこと」を象徴しているんだろうけど、そりゃそうだ。
そこをお金払って意味を求めて劇場に来ているので。
大駱駝艦
バレリーナ
バレエ曲
歌舞伎
色々つかっちゃみるけど板につかず、
大駱駝艦のお二人はやっぱり圧倒的な型を見せてくれてそれはそれで楽しかったが、
それは舞台というよりは「舞台装置」としてのもので、別途拝見させていただきたい気分だ。
ワイヤーアクションで吉高由里子を飛ばしてみたけれど、
ファンにはうれしかろうが、別にだからどうした。

満員の客席、10000円のチケット代金
3時間の舞台

大倉孝二・池田成志・北村一輝
峯村リエ・・・・
いい役者に支えられて、いや、役者目当てなら「大満足」だけど、脚本が・・・。
(役者・舞台演出がどんなによくても、脚本がこれだとどうにもならない)
昨年の「殺風景」がよかっただけに、なんともいえない怒りに近い残念感が強い。
駅前劇場でやったら大喝采なんだけど、

終わって思ったことは、「アルマイトの弁当箱」が欲しくなったこと。
午前中は「コーヒー」午後は炭酸
吉高由里子の初舞台を見られたことに満足(上手い下手とかそんなことどうでもよくて、「生」吉高であることに意味がある)
あとは気になることばかりで。
あと、隣の人の前のめりがとても残念な視界阻害行為(私は「カクタ」と呼んでいる)も。

遊星ブンボーグの接近

http://www.europe-kikaku.com/projects/e34/


スクリーンショット 2015-10-06 20.24.51
ヨーロッパ企画の存在を知ったのは、
映画「サマータイムマシンブルース」だったと思う。
そこで知ったのは「くどい」ムロツヨシと
なんかサークルの乗りの面白いコントだということだったのか・・・。
上野樹里の脇で真木よう子が出ていたのは後になって「思い出した」

観に行くようになったのはここからだった。
イノッチ(ジャニーズ)とのタイアップ企画
永野宗典不条理劇場(2回)
muro式(ムロツヨシが実は、劇団員ではないと知ったのはmuro式.2以降)
muro式1は、清原の一軍の打席を見に大阪ドームに行ってしまった。




第26回公演

あんなに優しかったゴーレム2008年



カタルシツ

今年の最高傑作かもしれない
今年は本当に「タイムスリップ」が流行っている。
これも複雑に時間を旅している。
前日のmuro式、今年のシティボーイズと・・・。
続いて時間をテーマにした「話題」が一つの物語となった。
いずれ改めて、まとめておきたい。
IMG_1186


muro式9

特攻隊の前夜、親友と出会う。
再び、タバコを吸う2人の男の話に戻る。
アフタートークを30分も続けていた・・・。
コントが大きなメッセージを持ってしまうハプニングを熱く語る。
そして、ポリープ手術の話から、
ash&dの面目躍如。
IMG_1184
IMG_1185

グッドバイ

タバコを吸う2人の男、なにやら意味ありそうな。
兄弟がなにやらゆるキャラと交わるネタ。
コインランドリーの2人の男のトピック。

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上品にまとまった宅間孝行と言ってはどちらにも失礼なんだろうけど、
自分の劇団員ではなくて、この間を演じられるのは見事。
というか、常連さんで固めているのだからある意味当然か。
太宰はどこまで書いたんだろう。
なにより驚いたのは「舞台」の出し引きの黒子さんの素早さ。
2週続けて世田谷パグリックシアターというのも初めてなら、
先週は1列目・今週は2列目
どちらもほぼ中央席で、
水野美紀・夏帆をじっくり鑑賞できたことに感謝。
喪服・法事があんなに舞台映えするってのは今更ながらにしみじみと。
途中休憩を挟んでの2部構成。
でも、第一部と第二部は休憩後にやってきたという怪奇もあった。

終わったら、先週につづき「テケテケ」に。
これで観劇後にテケテケが3回続いた。
王子様々だ。

虹とマーブル

昭和ってのはかくも魅力的・いや、魅惑満載、過去は綺麗に見えるものなんだろう。
http://mo-plays.com/nijimarble/
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くろねこちゃんとベージュねこちゃん

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二度目でも大満足

五右衛門vs轟天

いやはや・・・。

スペシャルゲストコーナー、梶原善が赤髑髏から・・・という話で満足。
他は内容ないけど、
高田聖子がたっぷり出ていたのが、35年記念たる由縁。
看板女優への敬意があふれでて嬉しかった。
池田成志さん、アキレス腱ご無事でよかった。


~大阪~■527()630()【シアターBRAVA!
<通りすがりゲスト>
5
30日(土)・・・浦井健治 (シャルル)
6
10日(水)・・・小池栄子 (極楽太夫)
6
13日(土)・・・羽野晶紀 (極楽太夫)
6
20日(土)・・・早乙女太一(無界屋蘭兵衛)
6
21日(日)・・・天海祐希 (アンヌ)
6
23日(火)・・・阿部サダヲ(猿飛のサダ)
6
27日(土)・・・三宅弘城 (鉄腕イワン)
~福岡~■711()20(/)【キャナルシティ劇場】
<通りすがりゲスト>
7
11日(土)・・・天海祐希 (アンヌ)
7
12日(日)・・・三浦春馬 (明智心九郎)
7
18日(土)・・・森奈みはる(邦香)
7
19日(日)・・・高橋由美子(春来尼)
~東京~■729()903()【赤坂ACTシアター】
7
31日(金)・・・市川染五郎(アテルイ)
8
11日(火)・・・天海祐希  (アンヌ)
8
12日(水)・・・渡辺いっけい(孫悟空)
8
13日(木)・・・坂井真紀  (浅見山サツキ)
8
14日(金)・・・宮藤官九郎 (金田真一耕助之介)
8
16日(日)・・・麿赤兒   (豊臣秀吉)
8
18日(火)・・・千葉哲也  (狸穴二郎衛門)
8
19日(木)・・・堤真一(天晴)、仲里依紗(沙霧)
8
23日(日)・・・田辺誠一
8
26日(水)・・・勝地涼
8
28日(金)・・・浦井健治 (シャルル)
8
29日(土)・・・梶原善・・・・・・・・・・泣けた・・・・・。

雀々の逸品vol.2

前回三鷹で「おい、君、失格!」を見た。
2014年のベストだと思っていた。
今回のもすごいんだけど、
なるほど、時間がこの人のテーマなんだということはわかった。
今回は「相楽樹」という若い女優がすごいことがわかった。
この子のために作ったのか(違うのはわかるけど)・・・。
みたいな。

しかし、結成15年で26回目の公演とはすごい。素晴らしい。
1500円の記念プログラム買いました。お布施です。
1995

できれば岡田あがさにはああいう役じゃなくて、ちゃんとした演技をしてもらって、たまにああいう演出を与えてあげて欲しいというのは私の密かなる希望である。山岸門人の予想以上の(というか、鹿殺しではああいういい役を貰えていないのが残念というより、ああいう演技をできるのが発見だったそんな気分)。パラレルワールドとパラレル舞台、そして、20年と100年後が交錯した、後半は作りが雑になって残念な、もっといい舞台になったんだろうにでも、面白かったというそんな舞台だった。ともあれ、相楽樹、まだ20歳ならこの先楽しみである。なんといっても、舞台女優に若い人が圧倒的に少ない(気がする)のは残念なので。

1995

前回三鷹で「おい、君、失格!」を見た。
2014年のベストだと思っていた。
今回のもすごいんだけど、
なるほど、時間がこの人のテーマなんだということはわかった。
今回は「相楽樹」という若い女優がすごいことがわかった。
この子のために作ったのか(違うのはわかるけど)・・・。
みたいな。

しかし、結成15年で26回目の公演とはすごい。素晴らしい。
1500円の記念プログラム買いました。お布施です。
1995

できれば岡田あがさにはああいう役じゃなくて、ちゃんとした演技をしてもらって、たまにああいう演出を与えてあげて欲しいというのは私の密かなる希望である。山岸門人の予想以上の(というか、鹿殺しではああいういい役を貰えていないのが残念というより、ああいう演技をできるのが発見だったそんな気分)。パラレルワールドとパラレル舞台、そして、20年と100年後が交錯した、後半は作りが雑になって残念な、もっといい舞台になったんだろうにでも、面白かったというそんな舞台だった。ともあれ、相楽樹、まだ20歳ならこの先楽しみである。なんといっても、舞台女優に若い人が圧倒的に少ない(気がする)のは残念なので。

墓場、女子高生

seichix
イキウメの真骨頂
役者はこれ以上はないという適役をもらい、
ストーリーは前川知大ワールド全開!!
そして、
今流行の、
「時間」と「空間」と「情報」をテーマにした奇っ怪な話。
思ったものがそこに登場してしまう。それはまさに2001年宇宙の旅の最後のシーン。
ドッペルゲンガーか?というあたりも映画チックな。
タイムスリップはしないところが「デスペラード」との違い。
あっという間の2時間だった。
2時間分の「分身」をどう「処分」するのか。
開場には笑いが出ているのが、その観客は内容わかっているのかどうなのか・・・
イキウメを初めて見たのはいつなんだろう・・・「太陽」からなんだ。
原題
『プランクトンの踊り場』は、2010 年ということなので、ここ5年も見ていないということになる。

マクベス

衝撃の結末。
そして、最高のエンディング。
旗揚げ講演の再演のようだ。
http://vol4.bedandmakings.com/
hakaba
最後のシーンに流れた音楽はこれ
「a place in the sun」
https://www.youtube.com/watch?v=W8lVPMWLCBQ

昨年は「南の島に雪が降る」だった。
どうも、ブルドッキングヘッドロックと重なってしまって、
2014年の最高傑作「おいキミ、失格」とダブってしまう。
けど、それに近い何かがある。

「◎」だったことは
望月綾乃のドヤ顔カーテンコール
杉ありさの怪優化・・・・
根本宗子・・・平岩紙を超える何か

「▲」だったことは
暗転が多かったことお墓を動かすので仕方ないんだけど。
暗転で台詞長時間は「モーリー・スウィーニー」以外は認めたくない。
山彦さんが中山祐一郎って最後まで気がつかなかったこと。メガネかけてよ。
主演女優が蒼井優っぽすぎたこと。

アテルイ


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このアテルイは「新感線」の舞台を生では見ていない。
DVDで見ただけだった。
しかし、NEXT歌舞伎というのが井上歌舞伎のことでいいのか?
すっかり「新感線」になっている。違和感は感じない。
歌舞伎ファンにはどう見えるのか感想をきいてみたい気分だ。
しかし、
七之助と稲森いずみが区別つかない私は・・・。
いや、七之助でなくて稲森いずみでいいのではないか?
あ、そうなると「歌舞伎」じゃなくなるわけだ。

贋作幕末太陽傳

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幕末太陽傳とは関係なかった。
一つわかったことは、
舞台で映画の話をやってはいけないということ。
舞台で舞台はありなんだろうけど、
映画で舞台の話もありだと思う。
映画で映画の話もありだと思う。
けど、
やっぱりこれは辛い。

でも、夏の風物詩。
いいわるいではなくて、見るか見ないか。
見るしかない。


燃えるゴミ


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すごい回に遭遇してしまった。
芝居をやりなおす。
冒頭の3分くらいだったからいいようなものの・・・。
蕎麦とカレーと色々一緒くたになってっしまって、

挙げ句に天井からゴミが墜落するとは・・・。
筒井康隆の小説の「穴」の話を思い出した。
3人によるコントもそろそろ終焉の時が来たようだ。
初めてみたのは「鍵のないトイレ」をジャンジャンでだった。

聖地X

入江雅人「五人芝居」
いつものごとき、イリポンワールド。
流石なオチだった。
映画好きな人にはいくつもの映画が脳裏をよぎり、
水野美紀ファンには「ハッピーセット」を思い出させるそんなおまけつき。
怪優も発見したし、オクイシュージがあそこまで全力で勝てない女優ってすごい。
私の中での結論は入江雅人は「一人舞台が一番似合う」ということになった。
けど、たまに他の舞台に出て貰うなり、
劇団作ってみるなり、
してみてほしい。

2014年末くらいから、夏目漱石というか「挫折」とか「屈折」とかそいういうことがマイブームだったのだけど、その元祖が実は「入江雅人」なのかもしれない。劇団シャララというその存在はよくわかっていないんだけど、ウッチャンナンチャン、出川哲朗、放送作家・・・いや、ケラ・バカリズムなどを考えると「横浜放送映画専門学院」の存在はやっぱりすごい。人の出会いってのがすごいということなんだろう。

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muro式のタイムマシンの話
おいキミ失格のタイムマシンの話
ハッピーセット・やわらかいパン
殺風景
なんかを思い出してしまったけど、

終わりはなんといっても「天国から来たチャンピオン」
で、「輪廻」はまるで「豊穣の海」のような。
(しかし、その仕組みは全然違う流石)
でも、繰り返すあたりは流石「ヨーロッパ企画」みたいな。
そして、それを大きく上回る「入江ワールド」
帰り道には「号泣しちゃいそう」だった。


デスペラード

入江雅人「五人芝居」
いつものごとき、イリポンワールド。
流石なオチだった。
映画好きな人にはいくつもの映画が脳裏をよぎり、
水野美紀ファンには「ハッピーセット」を思い出させるそんなおまけつき。
怪優も発見したし、オクイシュージがあそこまで全力で勝てない女優ってすごい。
私の中での結論は入江雅人は「一人舞台が一番似合う」ということになった。
けど、たまに他の舞台に出て貰うなり、
劇団作ってみるなり、
してみてほしい。

2014年末くらいから、夏目漱石というか「挫折」とか「屈折」とかそいういうことがマイブームだったのだけど、その元祖が実は「入江雅人」なのかもしれない。劇団シャララというその存在はよくわかっていないんだけど、ウッチャンナンチャン、出川哲朗、放送作家・・・いや、ケラ・バカリズムなどを考えると「横浜放送映画専門学院」の存在はやっぱりすごい。人の出会いってのがすごいということなんだろう。

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muro式のタイムマシンの話
おいキミ失格のタイムマシンの話
ハッピーセット・やわらかいパン
殺風景
なんかを思い出してしまったけど、

終わりはなんといっても「天国から来たチャンピオン」
で、「輪廻」はまるで「豊穣の海」のような。
(しかし、その仕組みは全然違う流石)
でも、繰り返すあたりは流石「ヨーロッパ企画」みたいな。
そして、それを大きく上回る「入江ワールド」
帰り道には「号泣しちゃいそう」だった。


夜想曲集

しかし、これは
東出昌大の初舞台であること
近藤芳正が「Opus」に次いで小川絵梨子の舞台に出ること
この2点に尽きるのかもしれない。

舞台が綺麗だったこと
照明が綺麗だったこと
音楽に凝った舞台だったことには感嘆した。

静かな劇だけに、印象は薄れがちだけど、
この「小川絵梨子」という演出家はチェックしておくことにしたい。

近藤芳正のサックスは多分本人が吹いているんだと思うけど、いい音だった。

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死と乙女


なんでこの舞台を見たのか
「カズオ・イシグロ」なる作家が気になったから。
安田成美が見たかったから。

演劇史に残る名作ということばにダマされて見てしまった。
シナリオ・役者についてはこんなもんなんだろうと思う。
大空祐飛という女優は初めて見たけど、最後列から2番目でもカッコイイのが分かった。
(シアタークリエはそういう方のやる劇場なんだってことも分かった)
豊原功補も迫力があった。
風間杜夫はやっぱり流石だ。いい役もらったなとつくづく感心する。

そして、演出の「谷賢一」
彼の持っている全ての技を出し切った感がある。

暗転シーンの使いどころ(休憩が適度なタイミングで)
幕が下りてからの芝居どころ(客席扉から客席を通って・・・)
音楽の使い方(逆に使っていない)
PAの使い方(あまり使っていないけど、意外なところで横から音が出てきたりする)


次にやるときに「どんな技」を見せるのか。
ちょっと大変だろう。

シューベルトは「問題のあるレストラン」で「どうだ」というくらいいいシーンを作っていたが、
こんな壮絶なものがたりに使われるとは。
ちょっとシューベルトに対する印象が変わってしまった。
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地下室の手記

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安藤
内田亜希子
岡田あがさ
七味まゆ味
葉丸あすか
深谷由梨香
八坂沙織

いつものメンバーは安定していて、
七人が出突っ張り
主役以外は沢山の役をやり、殺し・殺され・逃げ・泣き叫び
内田亜希子・八坂沙織が綺麗なチャンネーで◎
岡田あがさはもっとでかい芝居やれるのになぁ勿体ないなぁと思った。

「見事なのは」アフタートーク
葉丸あすか曰く
「美人になれます」
「自分に自信を持つことです」
名言だった。
いつもピンクのぬいぐるみを持参するお兄さんはいなかった。

夏目漱石とねこ

いやぁ、よかった。
劇評は
こちら
谷賢一は外さない。
http://www.wonderlands.jp/archives/26638/

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「夏目漱石とねこ」
密度の濃い、緊張感ただよう舞台。でもねこが沢山登場してその緊張感をときほぐしてくれる。「河童」「正岡子規」「
I love youの英訳(月がきれいですね)」。

「今日は特に月が綺麗ですね」
「昨日も今日も明日も変わりはしませんよ」
には参った、本当に素晴らしいシーンだ。
でも、意味がわからない(^_^)
(夏目漱石の妻はいい妻なのか?悪妻なのか?)

この舞台では
開演前にすでにねこちゃんが登場していた
http://q.hatena.ne.jp/1298092060
前半では舞台に「ネコ」として全役者が舞台上にいた
http://q.hatena.ne.jp/1298091595

しかし、相変わらず谷賢一には外れがない。終盤、号泣しそうになってしまった。

http://www.dcpop.org/stage/next.html



DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」

  • 投稿日: 201534 13:40
◎目の前の相手に直情的表現することが苦手な表現者「漱石」、複雑な心は坊ちゃん時代から
 大和田龍夫

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 「谷賢一」演出の演劇をいくつ見たか数えてみた。初めて見たのは2010年のサンモールスタジオでの「国道58号戦線異状ナシ」(再演)の演出以来だった。結構見ていることがわかった。Théâtre des Annales『ヌード・マウス』(20121月@赤坂レッドシアター)、『モリー・スウィーニー』(20116月@シアタートラム)、第11回公演『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』(20123月)、第12回公演『完全版・人間失格』(201211)、「俺とあがさと彬と酒と」(201212)、第13回本公演『アクアリウム』(201311)、第14回本公演『音楽劇・河童』、「証明/Proof(20126)(20145)Théâtre des Annales vol.2『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(中略)の事実にまつわる物語』(注)(20133月)、「最後の精神分析 フロイトvsルイス」(201310)Théâtre des Annales vol.3「トーキョート・スラム・エンジェズルズ」(201411)。随分と観てきたものだ。
 並べてみて気がついた。誰でも知っているような有名人にまつわる「作品」が多い。もっとも「作・演出」とは限らず、「演出のみ」「翻訳・演出」「大きなテーマを『さいとう・たかを』の劇画的プロダクションシステムで制作した演劇(Théâtre des Annalesシリーズがこれなのだろう)」いくつかのものに分類できるようだが、分類してもあまり意味はなく、本人も多分演劇への関わり方にさしたるこだわりはなく「関わり続けること」、演出を続けることに意義を感じているのではないかと勝手に解釈することにした。機会があったら訊いてみたい。
 ここ5年で、これだけの数観ているのは「中屋敷法仁」「前川知大」くらいだ。この2名と谷の違いは、Wikipediaで名前がでてくるかでてこないかがある(20152月現在)。こういう批評を書くときには困る。本当に困る。自ら「演劇悪魔」と名乗るだけあって、これだけ観ても「外れのない」舞台を私に提供しつづけてくれる。ありががたいことだ。
 今回「夏目漱石とねこ」とこれは「我が輩はねこである」なのか、「黒ねこちゃんとベージュねこちゃん」の続編的ものなのか、色々な妄想をふくらませて会場に行くこととなった。
 座・高円寺は横に広い舞台という印象がある。実際、前から2列目だったのだが、舞台の上座・下座を一望することはできず、きょろきょろしないと舞台の全貌がわからない。開場時点、開演前から既に「1匹のねこ」が舞台にたむろしていた。来場者はそれを「敢えて無視」しているのか、気がつかないのか、談笑する声の大きい人がいたり、ひそひそ声の人もいたり、劇場全体に緊張感が走りながらもその緊張感を打ち壊す瞬間もあり、その不思議な空間は面白いとしか言いようがない。

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【写真は、「夏目漱石とねこ」公演から。撮影=石川純 提供=DULL-COLORED POP 禁無断転載】
 物語は「夏目漱石」死が間近になったところに、「縁(ゆかり)」のあるネコが日本全国から「はせ参じる」ところから始まる。浅草から熊本まで沢山のネコが臨終の場にはせ参じようとしている。夏目漱石はまだ生きていて、危篤電報に激高する。
 そこから、シーンは夏目の青年期に戻る。この戻るシーンでは「全ネコ、臨終前の漱石、門下生A、妻」は舞台上そこかしこで、演劇の進行を「観て」いる。以後、死期の迫った漱石、門下生A、妻は舞台上いずこかに登場する。回想シーンということなのであろうか。ヨーロッパ帰りでこどもが小さい頃、お金に苦労しながら大塚保治・大塚楠緒子とのやりとり、まだ「作家となっていない頃の漱石」。
 次のシーンは松山で正岡子規と鰻を食べる。鰻代、二人前で350銭は漱石が出していた。この時点で漱石がどちらかわかっていない。小さい部屋に住んでいるのは分かったが、こんなところでくすぶっていてはいけない「ホトトギス」を刊行すると言った時点で「正岡子規」と「夏目漱石」が区別できた。漱石も私は「あんなに太っていたことはない」、と激高していたが、舞台で唯一「緩んだ」ひとときだったと記憶している。
 続いて、浅草の幼少の頃の「お坊ちゃん」時代の漱石。縁日に行って親に杖で殴られた記憶。「本当の親は」ということを知る。
 そして、終盤に、話は再び漱石が病床に伏して、書類整理をしているシーンにつながる。「今日は特別月が綺麗だ」という漱石の妻に対することばに、妻は「月なんていつもあるじゃないですが、昨日も今日も明日もかわりゃしませんよ」とのやりとりがでてくる。このシーンは後でまたふれることにする。
 最後のシーンでは門下生Aとのやりとりが。「河童をテーマにした本を書きたい」。という言葉に対して、「あせってはいけません。ただ、牛のように、図々しく進んでいくのが大事です」と。門下生Aは夏目の妻に促され、縁側から「葬儀場」に向い、舞台は幕となる。靜かな、とても濃厚な1時間50分であった。
 一通りの夏目漱石の「雰囲気」「キャラクター」は夏目の危篤の知らせに集合したネコになんとなく転写されているようで、夏目漱石の「著書」を読破していない浅学な私にも、夏目漱石を堪能させてくれる、そんな気分になる。楽しむという気分ではなく、これだけ「舞台からの圧力」の高い芝居は滅多に体験したことがない。2時間を越えたら押しつぶされてしまうのではないか、そんな芝居である。その圧力の一方で、夏目漱石が「死を前にした時間」「二十代」「三十代」「幼年期」と時間を飛び越えながら物語はテンポよく進行している。
 「月が綺麗ですね」と妻とやりとりするシーンが、この芝居の殆どの印象を形成してしまった(私的な理由なのであるが)。というのも、たまたま、観劇する2週前、テレビ「相棒」で「月がきれいですね」というくだりが犯人逮捕へのきっかけとなる放送回があった。この「月がきれいですね」は、何かでそのような「翻訳を英語教師として教えた」という伝承があることをどこか、何かの話で、私はたまたま知っていた(有名なネタなので知っている人も多かろう)。
 そういった事情で、私の中では観劇時点で、漱石に対して何らかの期待が高まっていたのである。夏目漱石の小説は読むには読んだが、50代になった今、40代で再読するチャンスを失った(40になって読み直すと読書感が変わると、多くの人に言われたのを記憶している)。夏目漱石はあまりこれといった影響を私の人生に与えていない。この「月がきれいですね」の真相はわからないが、「I love you」を何と訳すのか。「我、汝を愛す」という生徒のことばに対して「日本人がそんなことを言うわけがないだろう、月が綺麗ですねとでも言っておけ」と言ったという逸話に対する谷賢一の答がこの演劇に出てくる。
漱石:「今夜は月が綺麗だ」
漱石:「こういう月を見ると思い出すことなどが沢山ある。お前ならいつの月を思い出す。
鏡子:「さぁ。いつのでしょう。あたしにはいつもの月にしか見えません、昨日も同じような月でした。明日もきっと同じようなおつきさんですよ」
漱石:「しかし、今日の月はいつもより綺麗だよ」
 このことばに込められたやりとりはどういう意味があるのだろう。観劇後時間がたった私の感想は「相思相愛」ということにしておくことにした。観劇直後には「漱石が妻への感謝の言葉と愛情」を伝える一方で、妻は「結婚したときから気持ちは変わってはいない」その気持ちは「愛ではないのだろう」と思っていた。
 漱石は「妻に対する不信感」「癇癪持ち」「孤独」「偏屈」「うだつの上がらない」というか一言でいうと「屈折感」に満ちた男。漱石の妻は「悪妻」で有名だというのを(実は)観劇後に知った。ロンドン留学で挫折を味わったという逸話は有名だが、確かにWikipediaなりで夏目漱石の人生を調べてみると、この演劇の展開のような人生が「小説家夏目漱石」の裏側にあったというのを納得してしまう(演劇の背景はWikipediaを見ると大体意味が分かる旨の解説が、谷自身によってプログラムに書かれている)。どこからが「史実」でどこからが「創作」なのかわからなくなってしまうが、演劇にはそのような「無限」の可能性を持ったものであるのだから、これでいいのだと思っている。
 漱石が門下生Aに「牛になりなさい」と伝えるその門下生Aの書きたい小説のテーマは「河童」だった。ちなみに、河童はDULL-COLORED POP15回上演作品(原作:芥川龍之介)である。
 日本で上演される(海外の)翻訳劇というのは「日本の演劇」に比べて大きなテーマがあるような気がしてならない(日本でも通用する内容なのだからテーマが大きいのは当然ともいえるが)。「エンロン事件」「サブプライムローン問題」などといった(本来難解であると思われる)経済劇すらやってしまっている(経済の素人が見ても分かりやすく、かつ、楽しく見られる工夫に驚かされるのである)。私がそのような「日本発」の演劇を観る機会はあまりない。私が初めてみた日本人による経済劇は「トーキョー・スラム・エンジェルズ」だ(もっとも経済劇なるジャンルがあるのかどうかは知らない)。大きなテーマを扱う人物としては「野田秀樹」を真っ先に思い浮べてしまう。次はそんなことに「挑んでいる」演劇人のひとりに、「谷賢一」がいるのかと期待している。時代の最先端の話題を「劇画」のごとく演出を続けている演劇家がいる。その歩みは「牛」というよりは「奔馬」のごとき勢いを感じている。
201521114:00 観劇)
【筆者略歴】
大和田龍夫(おおわだ・たつお)
1964
年東京生まれ。東京都立大学経済学部卒。現在は武蔵野美術大学・専修大学非常勤講師(メディア論)、ビッグデータの解析に従事。「季刊InterCommunication」元編集長。
・ワンダーランド寄稿一覧:http://www.wonderlands.jp/archives/category/a/owada-tatsuo/
【上演記録】
DULL-COLORED POP vol.15
夏目漱石とねこ
座・高円寺1(201525-15日)
作・演出 谷賢一(DULL-COLORED POP)
出演
東谷英人、塚越健一、中村梨那、堀奈津美、百花亜希、若林えり(以上、DULL-COLORED POP)、大西玲子(青☆組)、木下祐子、西郷豊、榊原毅(三条会)、佐藤誓、西村順子、前山剛久、山田宏平、渡邊りょう(悪い芝居)
(注)正式タイトルは下記の通り。
Theatre des Annales vol.2
『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行“──およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならないという言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか? という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語』

いやおうなしに

visual
前半・ちょっと参ったと思ったが、後半良い感じになった。

高畑充希は「問題のあるレストラン」にも登場していたが、
なるほど、抜群な歌唱力だった。

グダグダな「歌謡ショー」なのかと思ったが、ちゃんとオチがあって安心した。
舞台作りは「the 河原雅彦」

そして、小泉今日子が私のすぐ横を走って劇場から出て行った。
そのときの「48歳元アイドルのちょっと恥ずかしそうにしている表情」にぐっときた。

この芝居の主役は「田口トモロヲ」だったかのかもしれない。

ランドスライドワールド


ランドスライドワールド
今までのメンバーで、今までの演出、今までの原作、音楽も・・・。
開演前に流れていた音楽は「有名映画音楽」のサントラ盤とちょっと違う感じのバージョン。
例によって舞台には「ラッパ」「トロンボーン」「サキソホーン」「パーカッション」「歌」はチョビが演出だけになったから減った印象がある(けど、実は歌っているシーンそれなりにあったと思う)。
見ている間に38度を超す熱が出ていた・・・(インフルエンザだった)ので、印象の悪いのはそのせいだとは思うけど、復活公演なら「新しさ」をいれてくれないと誰も満足しないのではないのか?今までの「熱い」舞台はよかったけど、復活公演でそれまでと同じ路線のままであることはちょっと残念でならない。
1年間の充電っていうのはそれだけの成果を求められているのだ。


構成が「ベルゼブブ兄弟」(2009年2月にREDシアターで見た)に似ていたからってこともある、というか、原作なんだ・・・。