前川知大

図書館的人生Vol.4襲ってくるもの

Pasted Graphic

散歩する侵略者

https://setagaya-pt.jp/performances/201710sanposuru.html

よもや、これが10年前にあったとは・・・。
すごすぎる。
圧倒的な完成度だ。

プレイヤー

スクリーンショット 2017-08-20 07.33.23スクリーンショット 2017-08-20 07.33.07
なんといっても、写真が「SCALA」で撮られているのがすごい。
(白黒リバーサルフィルム)
話自体は、
劇中劇で、
そこに「瞑想サークル」
不完全なシナリオ
役者がエチュード形式で作り上げていくということでもなく、
ときどき演出家に作家が憑依したかのような、
「ふ」と追加されたエンディング。
前川ワールド前回にもならず、
かといって、長塚ワールドでもなく、
双方が遠慮しあっているかのような感じになっている。
(と私はついついて毒づいてしまう)


天の敵

tennnoteki

なんとも壮絶な芝居だ。
2時間10
息つく間を与えてくれない。
ウェブにはこう言葉が

完全食を求めて生き延びた男をめぐる物語。2010年初演の短篇「人生という、死に至る病に効果あり」を長編化、フルスケール版にて、お送りします。
ライターの寺泊は、食事療法の取材中、戦後まもない1947年に「完全食と不食」について論文を書いた医師、長谷川卯太郎を知る。その卯太郎の写真が料理家の橋本和夫に酷似していたことで、寺泊は二人の血縁を疑い、橋本に取材を申し込む。菜食の料理家として人気を博す橋本のルーツは、食事療法を推進していた医師、卯太郎にあると考えたのだ。 「いや …… 長谷川卯太郎は私です。今年で122歳になる」


7年前には「イキウメ」なる集団を見ていなかったようで、
この後「太陽」他の作品が続いているということで、
集大成ではなくて「原点」だったというのが意外ともいえるし、納得させられるとも思う。

・人類の進化(≒多様化)
・何かを犠牲に何かの能力が拡大する
・人類共通の欲望とか何なのか

しかし、現実は「フィクション」を遙かに凌駕するところに来ている。
と思っていたが、イキウメだけは常に時代の半歩以上先を行っているようだ。

安井順平
浜田信也
盛修二
この3人は鉄板で
森下創
大窪人衛
この2人のすごい当たり役に感動・・・。
伊勢佳世
がいないのは残念でならない。

小野ゆり子、太田 ロランス、松澤 傑、有川マコト、村岡希美
の5人は見事だった・・・。
そして、結末を迎えるにあたって、村岡希美じゃないと成り立たない見事な・・・。
(2007年の芝居を見てみたかった・・・)

生きている時間

01
見事だなと感心したのは、
1/30だけ命を搾取されているという話。
60年を人生とすると2年・・・。それは徴兵の年数なんだ。
とか
時間が多くなるということは「相手が遅く見えること」とか、相対性理論の話か?
とか。

そういえば、生物の心拍数はどれも実は一緒だって話をきいたことがあるのを思い出したり。

見ていてわかったのは、
落語の方が密度が濃くて、
演劇の方が密度が低い。
密度は別にその価値を語っているのではないことはこの舞台でも語っていた通りだ。

色々気がついたことが沢山あったんだけど、
家に着いたら忘れてしまった。

あ、そうそう、
エンディングで「アメリカンニューシネマ」みたいな終わり方にしなかったのは、
多分、続編を「倉持裕」か「上田誠」にということなんだろうと思うことにした。

遠野物語・奇ッ怪其ノ参

仲村トオルの芝居は何本みただろうか、
ひょっとすると一番見ている役者かもしれない。
(いや、水野美紀の方が多分多い・・・)
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遠野物語を初めて読んだのはいつだったか・・・。中学校だか、高校だか・・・。
高校1年のときに、写真部合宿で遠野に行った。
それから何年後か定かではないけど、もう1回、遠野に行った。
いずれにしても「遠野物語」を読んだ衝撃を超えるものはなかったような気がする。
が、実は、衝撃を受けたのは「山の人生」だったのかもしれない。
・・・
電話で「もしもし」
と会話が始まる理由は、
「申す」と「たそがれどき」に「妖怪」が後ろから声をかけてくる。
振り返ると殺されてしまう。だから、申すと言うのには「振り返らないで」一心不乱に逃げること。
人間なら「申す、申す」と言える。
それなら振り返っていい。
というのを、いつだったか読んだ記憶があった。
・・・
時が過ぎて、電話の会社に勤めることになってびっくりしたことがあった。
業務用電話で「もっしー」と言う符丁がある。
(その場合には同業者でアルということのようで)
え、その会社の人は「妖怪なのか・・・」と驚いたものだった。
そんな話が、検索で出てくるようになったのは21世紀になってから。
・・・
伝説
物語
事件
個人の経験
・・・
どうするのか。
やはり、ものがたりを語れるようになるべき、そんな時代なんでしょう。

カタルシツ

今年の最高傑作かもしれない
今年は本当に「タイムスリップ」が流行っている。
これも複雑に時間を旅している。
前日のmuro式、今年のシティボーイズと・・・。
続いて時間をテーマにした「話題」が一つの物語となった。
いずれ改めて、まとめておきたい。
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聖地X

入江雅人「五人芝居」
いつものごとき、イリポンワールド。
流石なオチだった。
映画好きな人にはいくつもの映画が脳裏をよぎり、
水野美紀ファンには「ハッピーセット」を思い出させるそんなおまけつき。
怪優も発見したし、オクイシュージがあそこまで全力で勝てない女優ってすごい。
私の中での結論は入江雅人は「一人舞台が一番似合う」ということになった。
けど、たまに他の舞台に出て貰うなり、
劇団作ってみるなり、
してみてほしい。

2014年末くらいから、夏目漱石というか「挫折」とか「屈折」とかそいういうことがマイブームだったのだけど、その元祖が実は「入江雅人」なのかもしれない。劇団シャララというその存在はよくわかっていないんだけど、ウッチャンナンチャン、出川哲朗、放送作家・・・いや、ケラ・バカリズムなどを考えると「横浜放送映画専門学院」の存在はやっぱりすごい。人の出会いってのがすごいということなんだろう。

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muro式のタイムマシンの話
おいキミ失格のタイムマシンの話
ハッピーセット・やわらかいパン
殺風景
なんかを思い出してしまったけど、

終わりはなんといっても「天国から来たチャンピオン」
で、「輪廻」はまるで「豊穣の海」のような。
(しかし、その仕組みは全然違う流石)
でも、繰り返すあたりは流石「ヨーロッパ企画」みたいな。
そして、それを大きく上回る「入江ワールド」
帰り道には「号泣しちゃいそう」だった。


地下室の手記

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安藤
内田亜希子
岡田あがさ
七味まゆ味
葉丸あすか
深谷由梨香
八坂沙織

いつものメンバーは安定していて、
七人が出突っ張り
主役以外は沢山の役をやり、殺し・殺され・逃げ・泣き叫び
内田亜希子・八坂沙織が綺麗なチャンネーで◎
岡田あがさはもっとでかい芝居やれるのになぁ勿体ないなぁと思った。

「見事なのは」アフタートーク
葉丸あすか曰く
「美人になれます」
「自分に自信を持つことです」
名言だった。
いつもピンクのぬいぐるみを持参するお兄さんはいなかった。

新しい祝日

すごい芝居だった
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まさに今感じている課題そのもの

関数ドミノ

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イキウメの再演
流石・・・「ドミノ」ということばに芝居のような意味はないようだ。
安井順平、浜田信也、森下創・・・(伊勢佳世はお気に入りなので評価対象外)
すごかった。
「お前は『ドミノ』なのか?」と口癖のようになった。

地下室の手記

http://www.hephall.com/25154/
katarushitsu
安井順平ほぼ1人劇。公演。これは面白い。
ロシアブーム到来か。

獣の柱  まとめ*図書館的人生(下)

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イキウメはやっぱりイキウメである。
それは良くも悪くもということもあり、
これだけのテーマを扱えるのももはや、
野田秀樹・中屋敷法仁くらいではないのかと思う。
この芝居の謎は「デウス・エクス・マキナ」
隕石を見た者がかかる、「直径30メートル、高さ300メートルの柱」→「ドーパミンでまくり・固まり症状・幸せな死への序章」
80年姿を変えぬ「二階堂望」
ここに魅力が詰まっていながら、話の飛躍が良くも悪くもイキウメ。

まとめ*図書館的人生(上)

東京芸術劇場、シアターイーストで見る

青の記憶
輪廻TM
ゴッド・セーブ・ザ・クィーン
賽の河原で踊り名来る「亡霊」
東の海の笑わない「帝王」
いずれ誰もこそ泥だ、後は野となれ山となれ
全6話がごちゃごちゃって始まって終わる

なかなかすごい物語だ。
6話同時に上演するのもすごい。
別々に見てみたいような。
いや、それだけの力のある作品6つだった。

ミッション

前川知大の存在を知ったのは「奇っ怪その弐」を見てから。
あまりにすごいその物語にかなりぐっときた。
その後
太陽」を見て、似ているなと思いながらも抜群の物語に2作目もそれなりの満足をもって見ていた。なもんで、前川知大というか、イキウメという存在が結構気になっていた。
今回の作品には俄然期待が高まっていた。結論からすると、期待以上のいい感じ。会場もシアタートラムとはいえ満員で客席とくか、観客も満足感で満ちているのが分かった。

この
ミッションで思い出した人生のエピソード
1988年に、会社のテレビニュースで藤本義一が社員に対しての一言
「俺はどうせ会社の歯車だ、って思っている人がいるでしょうけど、機械の歯車は歯が欠けたら機械は止まります。あなたが会社からいなくなっても会社はつぶれません。せめて歯車になれるよう頑張ってください」
これは新入社員のときに聞いたショッキングなメッセージだった。
誰でもできることをやっているだけ、それが会社員である。
っていうのは今でも色々悩まさせられている。最大の呪縛である。

人間の行動ってのは視覚から脳に認識して身体に「行動指示」を出す結果という反応をすると全然間に合わない。会話においても話を聞き終わってから返事をしていたのでは「とろい」と認識されてしまう。
人間の行動の多くは実は事後的に理由を考えているのではないか?という話を脳科学者から聞いたことがある。その「衝動」とかは何なのか・・・まだ分かっていないようだ。ある意味、神の啓示なのか、何なのか。

仕事と社会のギャップ
生業ということばがあるけど、それは果たして給料をもらうための仕事なのか?それとも社会のために何か貢献をしようとしているのか?本田宗一郎と社員の会話。
本田「今、仕事楽しいか?」
社員(おやじが聞くんだからそりゃそう答えなきゃ・・・)
  「あ、はい。楽しいです」
本田「そうか、それじゃ、給料は要らないな。給料は苦痛の代償として払っているんだから」
社員「え・・・・」
という逸話。社員は、多分その後のホンダの社長になった人の話なんだと思う。
自分も含め、会社でえらくなるってこととやりたいことをやるってのは全く独立事象で、経営をやりたいっていう人は相関があるんでしょうけど、やりたいことは仕事になるとは限らない。いや、むしろ仕事になる筈がない。

厄介な叔父
物語のお約束として「厄介なおじさんの周りで事件が起きてあれこれ・・・」
「男はつらいよ」に限らず、物語の基本かもしれない。
この場合、悲劇的結末は似合わない。
物語は「ハッピーエンド」であってほしいものだ。