浅野和之
海をゆく者
2014/12/23 /23:19
鈴木京香の芝居を初めて見た。
この芝居の初演が昭和年というのはおどろきだ。
そして、
日本の家がなんと暗いことか。
そしてたかだか100年とかを伝統とか呼ぶ、
先祖様の祟り、罰当たりなどという名の下に様々な可能性を縛り付けていたのか、
そして、人道とかそういうこと関係なく、
しかそ、お金というものを軸に人がここまで動いてしまう。
夏目漱石の本でも「人」を金の価値で計るみたいな描写があるが、
舞台を一杯一杯に使っている「がらんどう」な空間がいい。
照明は絶妙。
日本家屋の暗いところが見事に描写されている。
「家」という嫌らしいところを「江口のりこ」「鈴木京香」「高橋克実」と「白石加代子」
の関係を描くことで見事な2時間半の芝居となった。
闇の使い方が巧いのは「舞台」としては当然なのか。
柱を効果的に使っているのも印象的であの柱が動くと「イキウメ」になってしまう。
経済劇+家ということを描いた点では「トーキョー・スラム・エンジェルス」に通じるものがある。
物語の作りとか諸々見ると、真船豊なる作家のすごさがひしひしと伝わってくる。
最高の山場は、鈴木京香と白石加代子の2人のシーン、鈴木京香のめまぐるしい表情の変化。素晴らしい。
高橋克実が「ダメな人」役で、「新感線でゴダイゴ天皇役」をやっていたあの迫力がないのが「見事」な裏切り。
裏切ってくれるというのも舞台の醍醐味だということを教えてもらった。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2014/12/post_376.html