珍渦虫
http://www.pragmax.co.jp/propeller/
4回くらい「このやろー」と怒りたくなった。
が、舞台挨拶を見て「ちょっと涙が溢れてしまった」
水野美紀は本気で、全力で取り組んでいたんだ。
物語は
主人公の「作家」の話
作家が書く物語の中の話
作家についている「編集(水野美紀)」の話そして、
編集の後輩の話
・・・・
物語の基本は「主役」以外の背景は語らない(新井一:シナリオの基礎技術)
というお約束を破って、物語はどれも深く潜り込んで入り交じる。
・・・・・
今時の鑑賞者ならそれくらいついてこられるでしょう?
ということなんだろうけど、
いやいや、110分の演劇でそれは酷ですよ。
とはいえ、
プロペラ犬は第7回公演までやってきた。
黒い十人の女(バカリズム版)を放映している裏でこれだ・・・。
なんかカブってしまっているけど、
スーツ姿、ピンクの服着た水野美紀、そこだけで、
会場のオッサンたちも満足だろう。
ワンダーランド
休止となる
http://www.wonderlands.jp/archives/26608/
私が投稿させてもらったものはこちら
http://www.wonderlands.jp/archives/category/a/owada-tatsuo/
DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」
◎目の前の相手に直情的表現することが苦手な表現者「漱石」、複雑な心は坊ちゃん時代から
「谷賢一」演出の演劇をいくつ見たか数えてみた。初めて見たのは2010年のサンモールスタジオでの「国道58号戦線異状ナシ」(再演)の演出以来だった。結構見ていることがわかった。Théâtre des Annales『ヌード・マウス』(2012年1月@赤坂レッドシアター)、『モリー・スウィーニー』(2011年6月@シアタートラム)、第11回公演『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』(2012年3月)、第12回公演『完全版・人間失格』(2012年11月)、「俺とあがさと彬と酒と」(2012年12月)、第13回本公演『アクアリウム』(2013年11月)、第14回本公演『音楽劇・河童』、「証明/Proof」(2012年6月)(2014年5月)、Théâtre des Annales vol.2『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン…(中略)…の事実にまつわる物語』(注)(2013年3月)、「最後の精神分析 フロイトvsルイス」(2013年10月)、Théâtre des Annales vol.3「トーキョート・スラム・エンジェズルズ」(2014年11月)。随分と観てきたものだ。
彩の国さいたま芸術劇場/ホリプロ「わたしを離さないで」
◎大きな芝居を小さな劇場で上演したら、小さな劇場で上演された芝居を大きな劇場で上演したらと妄想しながら
彩の国さいたま芸術劇場は開館して20年。新国立劇場中劇場、神奈川芸術劇場より長い歴史を持つ有数の大劇場だということに少し驚きをもって会場に向かった。実はこの演劇チケットを買ったのは「農業少女」で好演した多部未華子が脳裏から離れなかったからと、倉持裕脚本であることがその理由。蜷川演出、カズオ・イシグロ原作にはあまり惹かれてはいなかった(というよりはその事実をヒシヒシと感じたのは会場に着いてからだった)。
muro式「グラフ~その式を、グラフで表しなさい、~」
◎器用な客演役者と不器用な主演・演出・脚本家による3つのコント
着々と大きな劇場に移っていくmuro式。第1回は見ることができなかったが(チケットは買っていた)、第2回以降、欠かさず見に行くようにしている。今回で初回から4年が過ぎているとのことで、それなりの回をこなしているようだ。ムロツヨシなる役者の存在を知ったのは映画「サマータイムマシン・ブルース」だった。しばらくの間「ヨーロッパ企画」出身の役者だと勘違いしていた(それほど、当時は違和感がなかったというか、個性が薄かったというか)、次第にムロツヨシの存在は、濃いのか、薄いのかよくわからない謎というか、異様な役者という実感を持つようになっていた。
ギンギラ太陽’s 「翼をくださいっ!さらばYS-11」
◎3つの仕掛けは東京地方公演を福岡にいる気分にさせてくれた
2005年の再演となったこの芝居には、普通の芝居に慣れた者には意表をつく3つの仕掛けが待ち受けていたのである。
プロペラ犬「マイルドにしぬ」
◎「死」をテーマにした連作コント集 持ち味出した水野美紀と河原雅彦
テレビから舞台へその活躍の場を変えてきた水野美紀が脚本家と演劇ユニットを立ち上げたという不思議な舞台を見る機会に恵まれた。テレビタレントが様々なサイドビジネスをする例はあれども、テレビタレントがお金を儲けると副業としてレストラン経営などをする人が多いそうで、それをとあるタレントは、そんなノウハウも経験もないことに手を出すくらいなら、映画監督をやった方がまだ似たジャンルのことをやっているのだから、許されてもいいのではないか?というようなことを言っていたのを思い出した。
ペンギンプルペイルパイルズ「ゆらめき」
◎妄想を増大させ狂気の階段を昇る
マンションの一室で、まるで田舎の寄合所であるかのようなにぎやかな家庭で繰り広げられる「永年の友人」と「知り合ったばかりの友人」が夫婦に降り注ぐ些細な事件を大きな妄想により大事件に拡大させている、まさに、狂気の階段を昇っていく2時間の舞台であった。
ハッピーセット
http://www.propeller-246oku.com
40歳を過ぎても水野美紀には華がある。
何かこの物語展開には記憶があるが、気のせいだろう。
見ていてフと思い出したのは「ガープの世界」だけど、それとはちと違う。
大堀こういちなしにはこの舞台は成り立たなかったろうし、
「たんぽぽ」河村エミコなかなかのコメディエンヌだ。
そろそろ、水野美紀にもう一度「開放弦」みたいな芝居をやって欲しい気もするが、
ま、こういう「コント」と「涙」が似合う女優のかもしれない。
最終日まで体と声がもつことを祈るのみ。
やわらかいパン
前回に続いて、作:水野美紀
今回は沢山の役者が登場した。スナッチというオクイシュージが発足した劇団が脇をかためる。
東京ダイナマイトの松田大輔がいい役を演じきる。ハチミツ二郎はハチミツ二郎のまま。あれを味があると褒める人もいるだろうけど、私は認めない(^_^)そこそよかったとは思うけど。
しかし、ここまでの物語を作れるようになった水野美紀は見事。そして、相変わらず子ども役の場合には「しんちゃん」調になるのは「菜月チョビ」と一緒なのでご愛敬ということで。
ネガヒーロー
プロペラ犬公演は第1回から行っている。
旗揚げ公演「マイルドにしぬ」(2007年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・入江雅人、客演・河原雅彦)
第2回公演「ジャージマン」(2008年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・福原充則、客演・設楽統(バナナマン) 玉置孝匡(ペンギンプルペイルパイルズ))
第3回公演「サボテニング」(2009年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)、客演・福田転球 猫背椿(大人計画))
番外公演「アウェーインザライフ」(2010年6月 作・楠野一郎、演出・河原雅彦、出演・水野美紀 村上知子(森三中) ソニン 小林顕作(宇宙レコード、コンドルズ) 伊藤明顕 市川しんぺー(猫のホテル) 木野花)
第4回公演はかなりそれまでの様相とは違っている。そもそも、水野美紀はOCNで月1のエッセイを発表している。1年近くにわたって「桃太郎を執筆」していたので、ひょっとしてという予感があった「作:水野美紀」。こうなると「プロペラ犬を支える楠野君はどうなる?!」ということが心配である。
作者が舞台に出るというのは大きく2つのパターンがあると思っていて、ひとつが「詫間孝行」的「俺様」脚本。もちろん、脚本は自分を主役として一番光る形で描いている。これはこれで心地良い。他の役者は(多分)たまったものではないのだろう。でも、客は満足できる。そして、あれだけ「泣ける芝居」を作れる詫間孝行はすごいと思う。
ちょっとひねった形なのが「丸尾丸一郎」。出ているけど「演出はしない」。主役ではない(重要な役だけど)。
で、一番変わっているのは「長塚圭史」であろう。完全な脇役で登場している。
アフタートークとか、ボクたちの時代とかで長塚圭史が話しているのを見る限り、その芝居の空間で立ち会いたいということらしい。ボクたちの時代で「市川染五郎」「北村有起哉」と鼎談しているのを見て謙虚なのか、自己顕示欲旺盛なのかよくわからなくなったのは2011年の12月頃の話。
で、今回はプロペラ犬初の、水野美紀が主役ではない芝居。しかも、番外編同様、一編の物語となっている。オムニバスを見せてくれるのでもいいのに、頑張っちゃった感がひしひしと伝わってくる。
とにかくプロペラ犬については「いい」「悪い」ではなくて、水野美紀のアツイ思いを受け止められるかどうかにかかっている特殊な「舞台」だ。いや、これは舞台というよりは「生き様」なんだと思う。
第1回の入江雅人が演出となったことは、入江雅人の人生にも色々な与えたようだ(プログラムにはそうあった。2011年11月に入江雅人の一人舞台を見たが、なんでそんなことを再開したのか、劇団も再開したとか・・・)。
入江雅人=ウッチャンナンチャンファミリーということは分かっていたけど、ああ、こういう人なんだと、入江雅人を知ることができた、とてもいい舞台だった。その舞台をみたのも「シブゲキ」だった。
プログラムによると入江雅人は(も?)プロペラ犬旗揚げ公演に「アツイ」ものを感じたようで、第1回旗揚げ公演以降に、忘れていた何かを思い起こされたようだ。
で、肝心の本編は、2時間15分くらいのちょっと長めの舞台だった。
実力派俳優を配して、「根がヒーロー」は着々とすすんでいく。
根がをネガティブと受け取るとちょっと展開に誤解が生まれる。いや、ネガティブなことも充分に物語には登場している。
あれだけの配役に物語りがあるのだからそれをオムニバスにして、本編の暗転代わりに使って、展開すればいいのに、なんか、IOHの芝居みたいな流れにしてしまったのはちょっと勿体ない気がする。そして、話自体は、入江雅人一人芝居の最後のネタを思い起こさせるようなものがある。いわゆるストレートな芝居。もちろん、日本一のアクション女優だけに、殺陣はたっぷり。水野美紀と前田悟のアクションシーンは「恋人はスナイパー」以来のいい感じ。そして、この前田悟は寡黙で雄弁な語り部として大事な役割を持っていた。
第5回も楽しみだ。
(もっとも、今回の客入りは次回への大きな課題となるような気がする。立ち見も出るほどの客入りになると思い込んでいた私にとっては、意外な空席に意表を突かれた)
これだけ熱い思いをもって演劇(の全て)に関わっている女優は他に知らない。
(補筆:なんて書いていたら、1月29日のTBS情熱大陸に登場予定と)。