ネガヒーロー
プロペラ犬第四回公演「ネガヒーロー」
プロペラ犬公演は第1回から行っている。
旗揚げ公演「マイルドにしぬ」(2007年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・入江雅人、客演・河原雅彦)
第2回公演「ジャージマン」(2008年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・福原充則、客演・設楽統(バナナマン) 玉置孝匡(ペンギンプルペイルパイルズ))
第3回公演「サボテニング」(2009年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)、客演・福田転球 猫背椿(大人計画))
番外公演「アウェーインザライフ」(2010年6月 作・楠野一郎、演出・河原雅彦、出演・水野美紀 村上知子(森三中) ソニン 小林顕作(宇宙レコード、コンドルズ) 伊藤明顕 市川しんぺー(猫のホテル) 木野花)
第4回公演はかなりそれまでの様相とは違っている。そもそも、水野美紀はOCNで月1のエッセイを発表している。1年近くにわたって「桃太郎を執筆」していたので、ひょっとしてという予感があった「作:水野美紀」。こうなると「プロペラ犬を支える楠野君はどうなる?!」ということが心配である。
作者が舞台に出るというのは大きく2つのパターンがあると思っていて、ひとつが「詫間孝行」的「俺様」脚本。もちろん、脚本は自分を主役として一番光る形で描いている。これはこれで心地良い。他の役者は(多分)たまったものではないのだろう。でも、客は満足できる。そして、あれだけ「泣ける芝居」を作れる詫間孝行はすごいと思う。
ちょっとひねった形なのが「丸尾丸一郎」。出ているけど「演出はしない」。主役ではない(重要な役だけど)。
で、一番変わっているのは「長塚圭史」であろう。完全な脇役で登場している。
アフタートークとか、ボクたちの時代とかで長塚圭史が話しているのを見る限り、その芝居の空間で立ち会いたいということらしい。ボクたちの時代で「市川染五郎」「北村有起哉」と鼎談しているのを見て謙虚なのか、自己顕示欲旺盛なのかよくわからなくなったのは2011年の12月頃の話。
で、今回はプロペラ犬初の、水野美紀が主役ではない芝居。しかも、番外編同様、一編の物語となっている。オムニバスを見せてくれるのでもいいのに、頑張っちゃった感がひしひしと伝わってくる。
とにかくプロペラ犬については「いい」「悪い」ではなくて、水野美紀のアツイ思いを受け止められるかどうかにかかっている特殊な「舞台」だ。いや、これは舞台というよりは「生き様」なんだと思う。
第1回の入江雅人が演出となったことは、入江雅人の人生にも色々な与えたようだ(プログラムにはそうあった。2011年11月に入江雅人の一人舞台を見たが、なんでそんなことを再開したのか、劇団も再開したとか・・・)。
入江雅人=ウッチャンナンチャンファミリーということは分かっていたけど、ああ、こういう人なんだと、入江雅人を知ることができた、とてもいい舞台だった。その舞台をみたのも「シブゲキ」だった。
プログラムによると入江雅人は(も?)プロペラ犬旗揚げ公演に「アツイ」ものを感じたようで、第1回旗揚げ公演以降に、忘れていた何かを思い起こされたようだ。
で、肝心の本編は、2時間15分くらいのちょっと長めの舞台だった。
実力派俳優を配して、「根がヒーロー」は着々とすすんでいく。
根がをネガティブと受け取るとちょっと展開に誤解が生まれる。いや、ネガティブなことも充分に物語には登場している。
あれだけの配役に物語りがあるのだからそれをオムニバスにして、本編の暗転代わりに使って、展開すればいいのに、なんか、IOHの芝居みたいな流れにしてしまったのはちょっと勿体ない気がする。そして、話自体は、入江雅人一人芝居の最後のネタを思い起こさせるようなものがある。いわゆるストレートな芝居。もちろん、日本一のアクション女優だけに、殺陣はたっぷり。水野美紀と前田悟のアクションシーンは「恋人はスナイパー」以来のいい感じ。そして、この前田悟は寡黙で雄弁な語り部として大事な役割を持っていた。
第5回も楽しみだ。
(もっとも、今回の客入りは次回への大きな課題となるような気がする。立ち見も出るほどの客入りになると思い込んでいた私にとっては、意外な空席に意表を突かれた)
これだけ熱い思いをもって演劇(の全て)に関わっている女優は他に知らない。
(補筆:なんて書いていたら、1月29日のTBS情熱大陸に登場予定と)。
プロペラ犬公演は第1回から行っている。
旗揚げ公演「マイルドにしぬ」(2007年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・入江雅人、客演・河原雅彦)
第2回公演「ジャージマン」(2008年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・福原充則、客演・設楽統(バナナマン) 玉置孝匡(ペンギンプルペイルパイルズ))
第3回公演「サボテニング」(2009年11月 - 12月 作・楠野一郎、演出・倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)、客演・福田転球 猫背椿(大人計画))
番外公演「アウェーインザライフ」(2010年6月 作・楠野一郎、演出・河原雅彦、出演・水野美紀 村上知子(森三中) ソニン 小林顕作(宇宙レコード、コンドルズ) 伊藤明顕 市川しんぺー(猫のホテル) 木野花)
第4回公演はかなりそれまでの様相とは違っている。そもそも、水野美紀はOCNで月1のエッセイを発表している。1年近くにわたって「桃太郎を執筆」していたので、ひょっとしてという予感があった「作:水野美紀」。こうなると「プロペラ犬を支える楠野君はどうなる?!」ということが心配である。
作者が舞台に出るというのは大きく2つのパターンがあると思っていて、ひとつが「詫間孝行」的「俺様」脚本。もちろん、脚本は自分を主役として一番光る形で描いている。これはこれで心地良い。他の役者は(多分)たまったものではないのだろう。でも、客は満足できる。そして、あれだけ「泣ける芝居」を作れる詫間孝行はすごいと思う。
ちょっとひねった形なのが「丸尾丸一郎」。出ているけど「演出はしない」。主役ではない(重要な役だけど)。
で、一番変わっているのは「長塚圭史」であろう。完全な脇役で登場している。
アフタートークとか、ボクたちの時代とかで長塚圭史が話しているのを見る限り、その芝居の空間で立ち会いたいということらしい。ボクたちの時代で「市川染五郎」「北村有起哉」と鼎談しているのを見て謙虚なのか、自己顕示欲旺盛なのかよくわからなくなったのは2011年の12月頃の話。
で、今回はプロペラ犬初の、水野美紀が主役ではない芝居。しかも、番外編同様、一編の物語となっている。オムニバスを見せてくれるのでもいいのに、頑張っちゃった感がひしひしと伝わってくる。
とにかくプロペラ犬については「いい」「悪い」ではなくて、水野美紀のアツイ思いを受け止められるかどうかにかかっている特殊な「舞台」だ。いや、これは舞台というよりは「生き様」なんだと思う。
第1回の入江雅人が演出となったことは、入江雅人の人生にも色々な与えたようだ(プログラムにはそうあった。2011年11月に入江雅人の一人舞台を見たが、なんでそんなことを再開したのか、劇団も再開したとか・・・)。
入江雅人=ウッチャンナンチャンファミリーということは分かっていたけど、ああ、こういう人なんだと、入江雅人を知ることができた、とてもいい舞台だった。その舞台をみたのも「シブゲキ」だった。
プログラムによると入江雅人は(も?)プロペラ犬旗揚げ公演に「アツイ」ものを感じたようで、第1回旗揚げ公演以降に、忘れていた何かを思い起こされたようだ。
で、肝心の本編は、2時間15分くらいのちょっと長めの舞台だった。
実力派俳優を配して、「根がヒーロー」は着々とすすんでいく。
根がをネガティブと受け取るとちょっと展開に誤解が生まれる。いや、ネガティブなことも充分に物語には登場している。
あれだけの配役に物語りがあるのだからそれをオムニバスにして、本編の暗転代わりに使って、展開すればいいのに、なんか、IOHの芝居みたいな流れにしてしまったのはちょっと勿体ない気がする。そして、話自体は、入江雅人一人芝居の最後のネタを思い起こさせるようなものがある。いわゆるストレートな芝居。もちろん、日本一のアクション女優だけに、殺陣はたっぷり。水野美紀と前田悟のアクションシーンは「恋人はスナイパー」以来のいい感じ。そして、この前田悟は寡黙で雄弁な語り部として大事な役割を持っていた。
第5回も楽しみだ。
(もっとも、今回の客入りは次回への大きな課題となるような気がする。立ち見も出るほどの客入りになると思い込んでいた私にとっては、意外な空席に意表を突かれた)
これだけ熱い思いをもって演劇(の全て)に関わっている女優は他に知らない。
(補筆:なんて書いていたら、1月29日のTBS情熱大陸に登場予定と)。