佐藤めぐみ

ハンドダウンキッチン

パルコ劇場で「ハンドダウンキッチン」を観た
http://www.parco-play.com/web/play/hand-down-kitchen/

蓬莱竜太の作品は
Love30」(2006年)、水野美紀、東風真智子、なんかが出ていた回の「You+生瀬勝久」で観ていた。なんか、縁がなかったみたいだ。

登場している役者は
江守徹・・・・・流石の役者だ、いい味ってのはこれなんだろう。
仲村トオル・・・「奇っ怪」で凄いと思った。「黴菌」でもいい感じだった。
        基本ああいう役者なんだってことは分かってきた
千葉哲也・・・・新感線とかでよく名前を観るけど、素顔を観たのは初めて?
        「寿歌」の演出をそういえばやっていた。
中村倫也・・・・「ロッキー・ホラー・ショー」「muro式4『xyz』」
        で観ていた。そういえば、muro式のアフタートークで呑みに誘っても
        来てくれないってムロツヨシに暴露されていた
柄本佑・・・・・多分観たのは初めて。時生の方が見た目のインパクトがある。
You
・・・・・・「シティボーイズ・ミックス」に出ていたのを思い出した。
佐藤めぐみ・・・今回、このチケットを買った理由は彼女を舞台で観たかったから。

「料理のできない料理人
なんといっても、換気扇が回らない・・・空気がなにやらよどんでいるそこに色々な秘密があることが想像つく。この換気扇はいつ回るのか、そこが、そこだけが気になってしまった。換気扇にスポットライトを当ててというので思い出すのは「越後妻有トリエンナーレ」のボルタンスキーの「最後の学校」である(舞台じゃなくて美術作品だけど)。
物語の展開で、外から人が来てなにやら歯車が狂い始める・・・というのはなんとも倉持裕っぽい感じもするけど、違いはその歯車が内部崩壊をきたすようなことはなくて、もう一人の外からの客人(佐藤めぐみ)がその中で和んでしまう感じで、緊張と緩和がうまいこと機能している。
変な人の登場と、その人によって舞台転換があるというのは、シェークスピア以来の伝統なんだと思うけど、今では舞台転換は「携帯電話」で済ませる安易なことが多いけど、この舞台ではしっかり舞台上でその現象を示しているあたりが見事だと思った。(電話は厨房の外で受けて・・・その結果をしっかり登場人物が「語る」、インターネットもその画面の内容を登場人物が「語る」ことでその現象を説明する)舞台だとテレビと違って見せたいものをアップにして解決できないための工夫がいいなと思った。
やはり、映画を撮らない映画監督とか、絵を描かない画家とか、作品つくらないアーティストとか、変なことが沢山あるけど、包丁の握れないシェフがいて、絵描き・ウェブ仕掛け人・ギャンブル好き元居酒屋オーナーが「イケメンオーナーシェフの創作フレンチ」を提供している、この様はすごいと思った。
江守徹が舞台をきりりと締めているのは明らかで、仲村トオルの好きにやっているようで押さえながらやっている所作にかなり感心してしまった。そして、周りを固める役者とのハーモニーは見事だった。Youは好演していたんだと思うけど、なんか小声でボソボソという役が向いている人とそうでない人がいると思って、Youは素のままの怒りキャラが安心してしまう。

ハイライトは
・11件の料理の感想のところ
・江守徹が再現しようとしてできないスープの味の隠し味とは
・そのスープを飲んだ7人の感想のめちゃくちゃ加減
・換気扇が回り始めるところ、長くなる話の予感

で、最後のシーン
やっぱりここでも
長塚圭史の多用する演出手法が出てきていた。
いや、正確には長塚圭史のやっている演出とは違うんだけど、やっぱりこれ使うんだと思い出した。
舞台から、出演者が、一人、一人、抜けていって、主役の二人になって、最後に一人・・・。
長い間があって、
戻ってくる、
換気扇が回り始める・・・。
舞台の回りには出演者が戻ってきて二人を見守っている(イメージシーンとしてのとりまきなんだと思うけど)。
なるほど、長塚圭史オリジナルってことではないんだ、こういうシーンは以前からあったんだな。と。

ちなみに「ハンドダウン」
っていうのは「受け継ぐ」というような意味だそうだ。
でも、もう少し違う意味もあるみたいで、真意は今一つわからない。
「評決する」みたいなそんな意味もあるそうだ。

なんか、自分の人生(というか日々の仕事とか、デジタル時代の諸問題)と照らし合わせてしまうかのようなそんな舞台だった。

佐藤めぐみ
舞台挨拶2回目にはメガネをとって出てきてくれてちょっと嬉しかった(笑)
佐藤めぐみがどういう役者なのか、どんな人なのかよくわかっていないので、あの演技が「素晴らしい」のか「素」なのかは今一つ分からない。けど、プログラム読む限りでは「今までにない役」をこなしていたようなので、「よかった」と思うことにした。私にとっては佐藤めぐみの場合は演技が巧い、下手とかそういうこと抜きに、舞台に立って、台詞をこなしてくれる、それだけで充分すぎるくらい満足な気分になる。今回の舞台も、登場シーンは少なく、台詞も少なめではあるが「山猫」の一連の幇助者としての立ち位置をいい感じに表現してくれていた。
「山猫」は
注文の多い料理店からとったのは多分間違いなかろう。
そんなフりの巧さも蓬莱竜太のすごさなんだと思う。
蓬萊というと「551」を思い出してしまうのはなんか・・・。

フレンチレストランで
朝食にコンビニのサンドイッチ
昼食のまかないに仕出し弁当
隠し味の「味の素」に気がつかない先代シェフ。息子の指摘で味を再現できて満足する先代シェフ。
料理を作らないオーナーシェフがその再現できた味は再現できたことを理解しつつ「不味い」と言い切る。