スケベの話

2010年度サンモールスタジオ
最優秀団体賞受賞記念講演
ブルドッキングヘッドロックvol.22
女々しくてシリーズ
スケベの話
バットとボール編
http://www.bull-japan.com/stage/sukebe/

11名の役者が舞台一杯に登場する。
話は甲子園の話だけど、甲子園は出てこない。
甲子園の試合前夜までの3日間の話。

観に行ったのは
はるさんが絶賛していたのと、佐藤みゆき(こゆび侍)が出ているのを見つけたから。谷賢一の「
ヌードマウス」でいい演技をしていた。ついつい当日券目当てで会場に行った。

あっという間の2時間20分だった。
高校時代の甘酸っぱいなにやらが見られた。

大川役の河村紗也(競泳水着)もよかった。
9人の野球部員もいい。

作・演出:喜安浩平
ということだけど、ナイロン100℃とはあたりまえだけど違うテイストでありながら、ちょっと似た感じもある。
設定が細かいというところがナイロンっぽかった。
作りそのものは「元禄忠臣蔵」を思い出す(元禄忠臣蔵はいわゆる「討ち入りシーン」がない。打ち入りまでの話と、討ち入り後の話がちょっとということになっている)というか、肝心のところは描かない。いや、大事なところはその本番前だよということを語っているのであろう。そういう芝居とか、映画とか、表現するものは私は好きだ。映画でいうと「地獄の黙示録」の最後の炎上シーンのないコッポラ版とかってことだ。
で、この演出は流石だと感心した。満足した。実は、予想としては、試合のシーンは「暗黒でナレーション・音」だけであっさり終わるってのも期待していたけど、そうすると谷賢一のパクリになってしまうから、それはやらないのが正解だとも思った。

セイなる夜編
次回作
気になる・・・。

持ち主、登場

ナイロン100℃ side SESSION #11
作・演出・出演:大倉孝二、峯村リエ、村岡希美、KENTARO!!、ブルースカイ
声だけ:生瀬勝久

うっかり買って見てしまった。
思い出したのは、竹中直人の会とか、中島らもの「桃天紅」とか、プロペラ犬「ネガヒーロー」とか、役者がやりたいとこういうことになるのか・・・。というような苦々しい思いもありながら、無事1時間50分は終わった。
そりゃもう、大倉孝二と峯村リエと村岡希美を見たくて行っているわけだからそう、細かいところは文句言うことはない。
最後に出てきた娘がかわいいくてよかった。
最後の「ベンチ」のシーンはシュールでいいんだけど、その必然性が薄いのがちょっとご愛敬だったり、あそこまで「古典」を入り交じらせながら「大化の改新」となって、話がとっちらかってしまうのは残念。そりゃ、大倉君ではなくて、藤原君だったら「なるほどぉ」となるわけだけど、こうなると殆ど妄想が病んでいるのか?というような状態で。
始めに出てきた「tomorrow」のオチが見えてこないあたりに、ちょっと不満がある。
文句がつい出てきてしまったけど、そりゃ、普段はあの完成度の「ナイロン100℃」の芝居をやる人たちなわけだから。
峯村リエの「えげつないヘアヌード写真」是非見てみたい。
とはいえ、#11はすごい。次回に期待という思いも強い。

で、シブゲキは座席がなんか変である。開演後に入場されるのはやっぱり勘弁してほしい。
3名ほど周りでうろうろされたが、ちょっと迷惑を越えて腹立たしい。

ベルが鳴る前に

ペンギンプルペイルパイルズ
ベルが鳴る前に
作・演出:倉持裕
出演:小林高鹿、ぼくもとさきこ、玉置孝匡、近藤フク、吉川純広、奥菜恵 ほか

今までみたPPPPの芝居で一番登場人数が多い芝居だ。(客演だけど)やっぱり、奥菜恵はいい。とてもいい。今回の芝居は一人(タマキング)以外は、一人二役だったようで(大体正しいと思うんだけど自信はない)、そのどちらの役も「華」があってよかった。奥菜恵芝居は、阿佐ヶ谷スパイダースで見たのだけれど、それも抜群だった。役者ってのはいい演技ができればそれでいいんだって思った瞬間だった。ベニサンピット最後の講演でなんかそれもあいまったということもあるのかもしれない。
基本、芝居は役者がよければそれでいいんだけど、この芝居、シナリオもなかなか見事な作りで、乱暴に言うと「ゴドーを待ちながら」「走れめろす」「渚にて」「ノアの方舟」とか、いろいろな話がSFと神話とがあいまってできあがっているようで「イロアセル」と似た匂いがあった。
ホムンクルス(錬金術)」vs「科学技術」、「知らないことの幸運」vs「知っていた上での間に合わない」「自分の目標のために邁進」vs「困っている人を助けながら生きていく」、「選ばれた人」vs「全ての人を」、あたりが、この芝居の構成要因かと思う。で、いつ来るかわからないその日のために「万端の準備をしておく」「全力でやりきること」が・・・。もっとも、見事なオチがあって、帰りの電車では、後ろの男性が「あれはないだろう」と言っていたのも半分賛成・半分苦笑という感じ。
舞台セットには「ロベルトの操縦」同様、主題が真ん中にあって・・・。この舞台転換には痺れた。そして、そのスピード感を出すために「街灯」を動かす様が見事だった。そして、タマキングが最後置き去りにされるところに妙技があった。なかなかいい大道具さんがいるもんだ。

いつあるかわからないことのために「指名されて待機」するという狂気。生き残るための2つの行動と、それを取り巻く2つのリアクション。この辺はいい加減に描いていることにも好感が持てた。

青春漂流記

劇団鹿殺し新春公演「青春漂流記
なんと、紀伊國屋ホールへ進出となった。
紀伊國屋ホールというと、つかこうへいが数々の芝居をやっていた場所だってのはきいたことがある。私はここ5年くらい芝居を見ているような新参者なので、そんな事情は知らないのだけど、このホールで演劇をやるってのは、とある人にとっては憧れであるとともに、目標なんだろうなと思ったりする。私がここで見たものというと、中村有志ワンマンショーと、大宮エリー、ヨーロッパ企画とか、そんなもんだったりする。

今回の客演は豪華で、
主役には高田聖子(劇団☆新感線の看板女優)
重要な脇役に、廣川三憲(NYLON100℃)、
村木仁(おにぎり)が出ている。
村木仁は劇団☆新感線に良く出ていたと思うんだけど、去年、座高円寺で「
おにぎり」という演劇ユニットを立ち上げて、すごい芝居をやってくれた。いのうえひでのりが小さい箱で小さい芝居の演出をやったってのも画期的だったと思っている。
話は戻って、この3人の客演のおかげで?
百千万(再演)以来の見たなかでは、鹿殺し「最高傑作」に出会えたと思っている。芝居には色々な要素があると思っていて「役者」「脚本」「舞台」「熱気」「完成度」「客席との一体感」みたいな沢山の要素があってのものなので、一概に何がいい、悪いってのはいいずらいのかもしれないけど、一言で言うと「実社会」と密接に関わっていて、バランスが良くてということである。

今回の舞台となったところは「
元町高架下」ここには2011年秋に「神戸ビエンナーレ」で訪れている。まさに、この芝居のとおり「復興の起爆」として現代美術を利用しようとしていた。


芝居は、フィンガー5なのか、ジャクソン5なのか、アイドルの栄枯盛衰と、夢に向かった挑戦と、歳の衰えと、世知辛い世の中との闘い、嫉妬と、夢を捨てないこと、そして、それを支援する人々の愛と友情と、日本的怪奇話が入り交じった秀作。
もし、まだ元町高架下商店街を知らない人はぜひ訪ねてほしい。

ネガヒーロー

プロペラ犬第四回公演「ネガヒーロー」

プロペラ犬公演は第1回から行っている。

旗揚げ公演「マイルドにしぬ」(200711 - 12月 作・楠野一郎、演出入江雅人、客演・河原雅彦
2回公演「ジャージマン」(200811 - 12月 作・楠野一郎、演出・福原充則、客演・設楽統バナナマン) 玉置孝匡(ペンギンプルペイルパイルズ))
3回公演「サボテニング」(200911 - 12月 作・楠野一郎、演出・倉持裕ペンギンプルペイルパイルズ)、客演・福田転球 猫背椿大人計画))
番外公演「アウェーインザライフ」(20106月 作・楠野一郎、演出・河原雅彦、出演・水野美紀 村上知子森三中) ソニン 小林顕作宇宙レコードコンドルズ) 伊藤明顕 市川しんぺー猫のホテル) 木野花

第4回公演はかなりそれまでの様相とは違っている。そもそも、水野美紀は
OCNで月1のエッセイを発表している。1年近くにわたって「桃太郎を執筆」していたので、ひょっとしてという予感があった「作:水野美紀」。こうなると「プロペラ犬を支える楠野君はどうなる?!」ということが心配である。
作者が舞台に出るというのは大きく2つのパターンがあると思っていて、ひとつが「詫間孝行」的「俺様」脚本。もちろん、脚本は自分を主役として一番光る形で描いている。これはこれで心地良い。他の役者は(多分)たまったものではないのだろう。でも、客は満足できる。そして、あれだけ「泣ける芝居」を作れる詫間孝行はすごいと思う。
ちょっとひねった形なのが「丸尾丸一郎」。出ているけど「演出はしない」。主役ではない(重要な役だけど)。
で、一番変わっているのは「長塚圭史」であろう。完全な脇役で登場している。
アフタートークとか、ボクたちの時代とかで長塚圭史が話しているのを見る限り、その芝居の空間で立ち会いたいということらしい。ボクたちの時代で「市川染五郎」「北村有起哉」と鼎談しているのを見て謙虚なのか、自己顕示欲旺盛なのかよくわからなくなったのは2011年の12月頃の話。
で、今回はプロペラ犬初の、水野美紀が主役ではない芝居。しかも、番外編同様、一編の物語となっている。オムニバスを見せてくれるのでもいいのに、頑張っちゃった感がひしひしと伝わってくる。

とにかくプロペラ犬については「いい」「悪い」ではなくて、水野美紀のアツイ思いを受け止められるかどうかにかかっている特殊な「舞台」だ。いや、これは舞台というよりは「生き様」なんだと思う。
第1回の入江雅人が演出となったことは、入江雅人の人生にも色々な与えたようだ(プログラムにはそうあった。2011年11月に入江雅人の一人舞台を見たが、なんでそんなことを再開したのか、劇団も再開したとか・・・)。
入江雅人=ウッチャンナンチャンファミリーということは分かっていたけど、ああ、こういう人なんだと、入江雅人を知ることができた、とてもいい舞台だった。その舞台をみたのも「シブゲキ」だった。
プログラムによると入江雅人は(も?)プロペラ犬旗揚げ公演に「アツイ」ものを感じたようで、第1回旗揚げ公演以降に、忘れていた何かを思い起こされたようだ。

で、肝心の本編は、2時間15分くらいのちょっと長めの舞台だった。
実力派俳優を配して、「根がヒーロー」は着々とすすんでいく。
根がをネガティブと受け取るとちょっと展開に誤解が生まれる。いや、ネガティブなことも充分に物語には登場している。

あれだけの配役に物語りがあるのだからそれをオムニバスにして、本編の暗転代わりに使って、展開すればいいのに、なんか、IOHの芝居みたいな流れにしてしまったのはちょっと勿体ない気がする。そして、話自体は、入江雅人一人芝居の最後のネタを思い起こさせるようなものがある。いわゆるストレートな芝居。もちろん、日本一のアクション女優だけに、殺陣はたっぷり。水野美紀と前田悟のアクションシーンは「恋人はスナイパー」以来のいい感じ。そして、この前田悟は寡黙で雄弁な語り部として大事な役割を持っていた。

第5回も楽しみだ。
(もっとも、今回の客入りは次回への大きな課題となるような気がする。立ち見も出るほどの客入りになると思い込んでいた私にとっては、意外な空席に意表を突かれた)
これだけ熱い思いをもって演劇(の全て)に関わっている女優は他に知らない。
(補筆:なんて書いていたら、
1月29日のTBS情熱大陸に登場予定と)。

寿歌

1月21日マチネに行く。

http://www.siscompany.com/03produce/36hogiuta/index.htm
出演:堤真一・橋本じゅん・戸田恵梨香
演出:千葉哲也
北村想・・・有名な劇作家みたいなんだけど、初めて見る芝居だった。
この芝居は、色々なことを言っているのも分かるし、こういう終末的舞台は嫌いじゃない。そういえば、こんな芝居を見たなというのは、イキウメ「太陽」が似たテーマを引きずっているのかと思うけど、イキウメは絶望と希望が入り交じった感があって、少し救いがあった気がしている。その一方で、この「寿歌」には絶望の先にある「救い」は見た直後にはまだ分からない。
プロローグの部分は新たなる書き下ろしらしく、確かに、橋本じゅんがナニモノかということと、あのプロローグと、エンディングを合わせると希望というか、3.11以降の救いのようなものが見えてくる感じがする。
ともあれ、80分という短い時間に盛り込むのが大変だったのか?舞台は綺麗だった。橋本じゅんの真面目な演技もよかった。堤真一の台詞トチリも含めて良かった。戸田恵梨香も頑張っていたと思う(多分、吉高由里子がやったらもっと良かったんだろうなぁと密かに・・・)。

ミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」

ミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」
featuring PSAM®
1月15日(日)13:00開演
http://www.spamalot.jp/

2012年初の芝居は「ミュージカル」になった。

買った理由は「モンティ・パイソン」「池田成志」「戸次重幸」「ムロツヨシ」「皆川猿時」というなじみの役者が気になって。
ミュージカルということは殆ど意識していなかった。
結論からはミュージカルも面白いもんだ。
ってことで、まさにタイトル通り「スパム」が沢山な芝居で、本編はあっという間に終わるような話なんだろうに、寄り道が沢山。肝心の歌姫の登場はちょっと・・・。彩吹真央なる元タカラジェンヌの唄いっぷりにちょっと惚れた。
ともあれ、主役の「ユースケサンタマリア」は置いておいて。
 
池田成志 この中では一番その「芝居」を見ている。さすが、どんな芝居も全力で取り組む。圧倒的だった。
劇団新感線の「鋼鉄番長」のアキレス腱断裂前の回を奇跡的に見ている。「どんな芝居も全力で取り組む」というその姿勢に好感を持った。(あげくにであるし・・・)。他では、「49日後」「流れ姉妹」あたりが印象に残っている。そんなこんなの集大成として(なこと言っては失礼か)見るのもまた楽し。
 
戸次重幸 2010年の最高傑作ドラマ「宇宙犬作戦」で存在を知った。以来、久しぶりに見かけたけど、その迫力は出し切れていなかったと思う。片桐仁みたいな名バイプレイヤーで光るタイプなのか。この濃い人たちの中では霞んでしまうのもやむなしか。
 
ムロツヨシ 「サマータイムマシンブルース」以来、気になっている俳優。ムロ式も結構見ているけど、テレビにも最近登場している。全力で取り組んでいた。ムロツヨシは唄は得意なのか、全力で下手なのか、本当のところを知りたい。
 
皆川猿時 初めてみたのはR2C2メカロックオペラのファミレス店長役が多い役者として紹介されていた。流石にエネルギッシュだ。

見てわかったのは、ミュージカルというのは脇役がしっかり唄ってくれるといい唄になるってこと。メインの役者は頑張っていればいいってことで。

で、この話は「
アーサー王伝説」がベースになっている。
アーサー王伝説とは・・・。