ミッション

前川知大の存在を知ったのは「奇っ怪その弐」を見てから。
あまりにすごいその物語にかなりぐっときた。
その後
太陽」を見て、似ているなと思いながらも抜群の物語に2作目もそれなりの満足をもって見ていた。なもんで、前川知大というか、イキウメという存在が結構気になっていた。
今回の作品には俄然期待が高まっていた。結論からすると、期待以上のいい感じ。会場もシアタートラムとはいえ満員で客席とくか、観客も満足感で満ちているのが分かった。

この
ミッションで思い出した人生のエピソード
1988年に、会社のテレビニュースで藤本義一が社員に対しての一言
「俺はどうせ会社の歯車だ、って思っている人がいるでしょうけど、機械の歯車は歯が欠けたら機械は止まります。あなたが会社からいなくなっても会社はつぶれません。せめて歯車になれるよう頑張ってください」
これは新入社員のときに聞いたショッキングなメッセージだった。
誰でもできることをやっているだけ、それが会社員である。
っていうのは今でも色々悩まさせられている。最大の呪縛である。

人間の行動ってのは視覚から脳に認識して身体に「行動指示」を出す結果という反応をすると全然間に合わない。会話においても話を聞き終わってから返事をしていたのでは「とろい」と認識されてしまう。
人間の行動の多くは実は事後的に理由を考えているのではないか?という話を脳科学者から聞いたことがある。その「衝動」とかは何なのか・・・まだ分かっていないようだ。ある意味、神の啓示なのか、何なのか。

仕事と社会のギャップ
生業ということばがあるけど、それは果たして給料をもらうための仕事なのか?それとも社会のために何か貢献をしようとしているのか?本田宗一郎と社員の会話。
本田「今、仕事楽しいか?」
社員(おやじが聞くんだからそりゃそう答えなきゃ・・・)
  「あ、はい。楽しいです」
本田「そうか、それじゃ、給料は要らないな。給料は苦痛の代償として払っているんだから」
社員「え・・・・」
という逸話。社員は、多分その後のホンダの社長になった人の話なんだと思う。
自分も含め、会社でえらくなるってこととやりたいことをやるってのは全く独立事象で、経営をやりたいっていう人は相関があるんでしょうけど、やりたいことは仕事になるとは限らない。いや、むしろ仕事になる筈がない。

厄介な叔父
物語のお約束として「厄介なおじさんの周りで事件が起きてあれこれ・・・」
「男はつらいよ」に限らず、物語の基本かもしれない。
この場合、悲劇的結末は似合わない。
物語は「ハッピーエンド」であってほしいものだ。