南部高速道路

真木よう子がよかった・・・(って目当てはそう、その通りですが)
黒沢あすか・・・どこかで見たことがあると思ったら「冷たい熱帯魚」のでんでんの奥さん役だ・・・。そっか、迫力あるわけだ。
小林勝也、この役者さんは何度か見ていて、昨年末に「山崎美貴」の芝居見たさに出かけた雑遊の主宰だった。その芝居を知ったのは新国立劇場でやった「天守物語」の謎の仙人役だった。やっぱりこの人の爆発力はすごいものがあった。
江口のり子は、ま、やっぱり江口のり子なわけで、そういえば、週刊真木よう子で共演していたのを今思い出した。
不思議なことが沢山あるけど、プログラムも袋とじだらけで未だに開いて読めない(笑)。

劇場を出ると「不条理劇場II」をやった永野宗典がまさに「劇野郎が帰る」ところだった。

長塚圭史の芝居ではよく役者が舞台袖で見ているなんていうのが多いけど、
ついに、観客が舞台に上がっちゃったというか、上手、下手には客席が2列。
私は東側で観劇となった。
なるほど。なんとなくその秘密が分かってきたきがする。

もっとも、
1年間も高速道路に閉じ込められてしまうという不条理状態・・・。
当然、3.11を思い出してしまい、なんともやるせない状況になる。
結構早い段階でその様を楽しむようになっているのが救いなんだけど、やっぱり徹底して楽しんで見られない自分がいる。ここがやっぱり難しさなんだと感じた。
超越した物語とそうでない物語が私の中に存在している。

満足いく不条理劇に出会えたそんな気分に浸って、サンライズ瀬戸に乗って香川県に向かっている。

The Bee

やっぱりすごいわ。
とても75分の芝居とは思えない時間の濃さ・・・。
あれで2時間やられたら役者も観客も耐えられないな。
http://www.nodamap.com/productions/thebee/index.html


やっぱりすごいのは
野田秀樹のアクティブさ加減。
そして、あの役は他の人には譲りたくないんだろうなとつくづく・・・。

池田成志もすごいけど、
ダンサーのあの人はなかなかすごい役者だ。
そして、
宮沢りえは圧巻。
やっぱり生の宮沢りえ見ると惚れちゃう。

帰りのスーパーあずさは事故で40分ほど遅れていた。
どうやらグリーン車には「役者さんたち」が乗っていたようで。
一杯おごりたかった。

たまにこういう地方都市で見る芝居ってのも一興だと思った初夏の一日。

月の岬

6月10日
http://www.seinendan.org/jpn/info/2012/06/tsukinomisaki/#tokyo

見ていたのを半年後に気がついた。
その月は随分と沢山見ていたからついつい書きそびれていたのかもしれない。
いい芝居だった記憶がある。
近藤強さんが脇役ながら重要な役をこなしていた。

ただ、書いているのが11月になってからなので、
私小説的演劇に何か意味があるのか?という問いに対して答えがないとなんとも納得がいかなくなってしまっている。

シレンとラギ

久々の中島かずき脚本の劇団☆新感線いのうえ歌舞伎。

劇団新感線の芝居を見るようになったのは「髑髏城の七人」(青髑髏・赤髑髏)という2バージョンを続けて上演したとき以来。もっとも、水野美紀目当てで観に行ったわけで、あまり新感線フリークというわけでも、ミュージカルも、大きな芝居も(小さい芝居も)興味があったということではなかった。

舞台が綺麗なこと、水野美紀が男前なことに惹かれたけど、一番の感動は「舞台挨拶」の格好良さだった。圧倒的だった。いまだに、あの舞台挨拶を越える舞台はない(笑)。

この会の新感線の舞台は(私の中では)2つめの転換点だった。
1つめの転換点は舞台装置の革命が起きた時代があった。
舞台装置には「プロジェクション」を多用してテクスチャ-を変化させるというすごい技を見せてくれた。昔(1995年頃)ジョージコーツパフォーミングアーツという団体がやったマルチメディアオペラなんてものがあったけど、まさに、そんな感じのものを完成度を高めたそんな感じ。
http://www.bara-samu.com/


今回の舞台は、その、青髑髏のような「新国立劇場中劇場」のような贅沢な舞台装置がないことを逆手にとってなんだろうけど、単純だけど「ぐっとくる」舞台への「入り」「出」を作りだしたんだと思った。

で、
永作は細い・小さい・可愛いそんな40歳・・・。今回の役も、とある事件(仕事)から20年たって・・・。もう一度ミッションが下った。というところから。
そこでその使命を果たすべく、門をくぐる・・・・「どーん」とタイトルが出てくる。
ここで号泣しそうになってしまった。
始まって15分くらいか・・・。
満足して思わず帰りそうな。
流石、いのうえ歌舞伎。

今回は「唄」「踊り」は控えめというか、第一幕にはなかった。

で、衝撃の事実が発覚・・・!!!
役者の動きが止まり、幕が下りた。
ここまでの注目するべきとことは
・高橋克実(ごだい様・・・後醍醐天皇)
・三宅弘城(二代将軍・・・足利義詮)
の圧倒的な役者ぶり。
よかった。ここで満足してはいけなかった。この2人の出番は第二幕で爆発するのだった。

第二幕になって
壮絶な結末に向かっていった。
ラギの運命や如何に・・・・。

エンディングは多分、今までの「いのうえ歌舞伎」とは違うのかなと感じた。
安っぽいことばでいうと「希望」というものが加えられたかのような気がする。
いままでのいのうえ歌舞伎はどんどん「墜ちていく」という作りで、そこに
救いは求めない潔さがあったような気がするが、いや、そうでもないのか?

私の満足度としては
永作が可愛かったことと、
石橋杏奈が可愛かったことが◎。
いや、そこはとても大事なところであって。

藤原竜也扮する「ラギ」の永作博美扮する「シレン」への愛
古田新太扮する「京極」の娘への愛
この辺が物語りの重要なテーマとなっている。
中島かずきは仮面ライダーの脚本も書いていたみたいで、
そこに、それまでの「罪」と「贖罪の思い」、親子の愛と、人としての愛そういうことが見事に交わって、どん底の中で明日への希望を持てた終わりに大満足なわけだ。

永野宗典不条理劇場II劇野郎が来る!

すごいものを見てしまった。
永野宗典不条理劇場Iは今は亡きリトルモア地下だった。
観客の多くは「不条理じゃない」みたいな感触を持ったみたいで、
今回の不条理劇は・・・。
意表をつかれた。

土曜日に「唐十郎」の芝居を見たけど、
その不条理具合に比べるとまだまだ不条理感が薄い感じがしたけど、
・・・・なかなか。

舞台は漆黒の闇から始まる。
そして・・・。
人形劇が始まった。
いつ人形劇が終わるのかと思ったが・・・。
役者4名も姿は徐々に現しはじめるけど、全編人形劇。
感動のエンディングで、舞台挨拶となった。
第三幕で
「世界劇場問答が始まるか」と思った瞬間にはちょっと期待が高まった(笑)
ところが・・・。人形の反乱があった。
終わりは、つるされた糸を切って解放されることで終演となる。

終演の告知を劇場スタッフが言うまでが芝居なようだ。

望月綾乃
という女優、多分初めてなんだと思うけど、
充分に渡り合っていて良かった。

劇場には
本多・中川という仲間も見に来ていたようで。(本多君は私のすぐ後ろにいた)

日曜日に見た「入江雅人」一人芝居も、これくらい気楽に(言い方は失礼になるけど、いい意味で言っているので)やれば続けられるのに、勿体ないってそんな気がした。もちろん、どっちも良かった。ってことは間違いない。

[入江雅人グレート一人芝居]マイクレイジー サンダーロード

入江雅人一人芝居に行くのは2回目。

2011年10月29日に観に行っている。
http://www.owada.org/play2011.html

「プロローグ(人形との漫才) 」
完璧な登場シーンから
茂木健一郎のブログはうざい・・・というネタへ。
「100 」
ラーメン100杯を「ボレロ」に合わせて食べる闘い。
「デストロイヤー(作:古田新太) 」
ラーメン屋の主人の言うことが次々と現実になっていく。初めは「占い」のようなものだったのがやがて「預言」に・・・。そして。
「富士そばの友人(作:赤堀雅秋) 」
バイト仲間が誕生日祝いに来てくれた。初めて開く誕生日会。テレながらも喜ぶ中年の喜劇。
「スーパーカーナビ 」
こんなカーナビ欲しくない?!
「一人朗読劇「いつか見た青い空」 」
書簡小説の究極の姿がここにある?
「さらば 劇団 松田優作 」
松田優作といえば「なんじゃこりゃ」か?
「Run For The Dream(作:ブルースカイ) 」
独身看護師女子寮管理人になるのが夢だった男がユニコーンに導かれたその道は。
「ブロークバックマウンテン 」
地球に隕石が落ちてくる、そのときに思い出した高校時代の出来事。そして、思い出の山に登山をする。
人に与えられた使命とは?甘い缶コーヒーを山頂で呑む至福のひととき。

2時間半に渡る大一人舞台。
前回のゾンビネタの予告は本編は見ることなく終わった。
とはいえ、前作以上に力の入った作品が次々と登場した。

作・演出・主演と一人でやっているから迷っているようだけど、
これだけの「クオリティ」そうそう見られるものではない。
もっと気楽にやっていいんじゃないか?と思うけど、
そのこだわりが49歳ってことなんだと思う。
同世代ってこともあって、一つ一つが身に染みる。

となりのライブハウスの音漏れとかあまりきにならない。
一人で全部やるのはやっぱり大変だから、新作は一つは自分で、あとは他の人にもらうとか、一人芝居は最後だけにして、あとは2人芝居にするとか、もう少し気楽にやって年2本を目指してほしいって思ったのは他の人も一緒なのではないかと・・・。

ユニコーンが私の背中を押してくれたそんな気がした。

唐組第49回公演「海星(ひとで)」

唐組第49回公演『海星(ひとで)』
作・演出:唐十郎
池袋雑司ヶ谷鬼子母神境内

唐十郎の芝居を見るのは当然ながら初めて。
テントで見る芝居ってのは
「シティボーイズ」(池上本門寺)
「椿組夏公演」(花園神社)
テントで見てるなぁって感じは
劇団鹿殺しの「轟のうた」なんかがそんな雰囲気を醸し出してくれた。
ひょっとしたら、青山円形劇場にはそんな気配があるのかもしれない。

観終わっての感想は大きく2つ。
1.今見てよかった。5年前に見ていたら、多分二度と芝居は観なくなっていただろう
会場は、伝説の「赤テント」なるほど・・・。一度は入ってみたいと思ったけど、これかと。入口は1カ所、席の殆どは桟敷席。靴は脱ぐ。長時間だと辛いなとちょっと不安になる。途中15分の休憩を挟んでも2時間かかっていなかったようだ。

2.エンディングは「椿組花園神社公園」「能登演劇堂」と同じ演出手法
流石というか、ちょっと感心。 あれ見せられると全てを許してしまう感じ。 あの手法は川島雄三監督の「幕末太陽傳」とどっちが旧いんだろうか。 何があるかというと、舞台奥は現世とつながっていて、そこに役者が出ていくという・・・。初めて見たのは私の履歴書の「仲代達矢」の紹介した「能登演劇堂」のくだりを見たときだと思う。これは舞台奥が開いて外が見えるという舞台装置だった。劇団新感線の「髑髏城の七人」(新国立劇場)を見たのもいつか記憶が定かでなくなってきたけど、あれは舞台奥から役者が50mくらい走って挨拶するという舞台の大きさを圧倒するものだった。しかし、椿組の芝居では、なんと舞台を壊して明治通りが丸見えになるというすごい演出・・・・。

おまけ、唐十郎を生で見たいと思って行ったが、けがで出ていないという・・・。
芝居に大きな穴が空いた感じがしないから、舞台役者としての関わりは「長塚圭史」的関わり方なのかと思うに至った。
作・演出の人が「主役」をやるというのは結構面倒なことになるんだろうなと思ったのは、東京セレソンDXを見て。作・演出の人がなんでこんな脇役やっているだろうと思ったのは阿佐ヶ谷スパイダースを見て感じたこと。後藤ひろひとになると、その特権をとにかく利用して「解説もしくは前座」みたいな不思議な役回りで登場する。野田秀樹の芝居はあまり観ていないけど、「NODAMAP」の場合には主役ではなく、主役級の舞台の転換点を担う役をそつなくこなしているそんな感じがした。