ヌード・マウス

テアトル・ド・アナール第1回公演「ヌード・マウス」
すごい芝居に出会った。

谷賢一の演出は
「国道58号戦線異状なし」「モーリー・スウィーニー」に次いで3回目。ただ、「脚本谷賢一」は今回が初めて。青年団演出部に所属しているとか、活動もそこかしこで見かけるのだけど、なかなか見る縁がなかった。今回も「手塚」さんに教えていただいて、「プロペラ犬」楽日チケットを手放してまでして(演劇の魅力を教えてくれたのは水野美紀で、実際、私の場合「女優目当て」で見ているだけである。脚本とか、男優とかには基本興味ない)、観に行ったという私にとって、これはかなりの覚悟というか事件である。
無理すれば二本立てで見ることも可能だったけど、そういう芝居ではない予感もあり、「
プロペラ犬・ネガヒーロー」は前の週に行った。

今、9年前の「思い出」を発掘するという「事業」を抱えていて、色々なことに気がついている、今日この頃。
昨日の「青春漂流記」「ヌード・マウス」と続けて「過去」「未来」ということについてとても重要な示唆を与えてくれる芝居だった。 もう少し詳しく言うと「過去」「未来」というものは、人間の脳が作り出している「妄想」であり「想像力」であり、その「思い出」もしくは「妄想」なるものは自分の脳内に形成されるものであると結論づけてしまうとそれでおしまいだけど、他人とどう共有できるのかということが大事なんだということが段々わかってきた。
このヌード・マウスの脚本は、脳科学の諸々について随分と詳しく説明がなされている。前回の、モーリー・スウィーニーは翻訳劇とはいえ、両方に随分と深い関係があるのは間違いないだろう。いや、単に谷賢一が、そういった脳科学「Predition」に対して「Postdiction」という不思議な現象があることが脳科学の進歩で分かってきている。人間が

それはともあれ「ヌード・マウス」
山本亨・佐藤みゆき
の演技に痺れた。

イキウメの「太陽」なんかも、似た傾向の話なんだと思うけど、コピーチラシにあるとおり「ジュール・ヴェルヌ」は19世紀にあれだけのSFを書いた。ヴェルヌの想像はほぼ、20世紀に実現した。人間の想像できるこは「実現できる」
まさに、その通りで、今、想像することを放棄しすぎてしまったのかもしれない。それは量子力学が台頭したからなのか?
そう、そんな「確率論」の話は
http://kakuritsuron.sub.jp/
これはこれでなんと挑戦的な芝居だと感心したんだった。
更に、去年の春には「夏への扉」の舞台をみたのだった。
http://www.youtube.com/watch?v=18UTlFfU8tY&noredirect=1

SFの切り開く未来を今、語るべきなんだ。
そんなところに、若い才能を振り向けるべきんだんだなと、今ではそう思うようになった。
コピープログラムを見てきになったことがあって「ドラマトゥルク:野村政之」とあった。
ドラマトゥルクって「時代考証」とか「校閲」とかそんな立ち位置なのか?と思っていたけど、これはちょっと違うようだ。これまた調べてみないと・・・。ドイツに始まるこのドラマトゥルクという職業は現代のメディアにおいても必要な職業であるなということに気がついた。
こういう芝居が今後も「テアトル・ド・アヌール」ではこれからも続けて欲しい。

谷賢一次回作は
Dull-colored Pop Vol.11
くろねこちゃんとベージュねこちゃん
3/14〜4/8 全国6都市ツアー
3/14〜18 アトリエ春風舎
東京・新潟・仙台・京都・大阪・広島・東京
稽古場公開
仕込み公開
執筆公開
は結構緻密に
ウェブで公開されている
http://www.dcpop.org/index.html

青春漂流記

劇団鹿殺し新春公演「青春漂流記
なんと、紀伊國屋ホールへ進出となった。
紀伊國屋ホールというと、つかこうへいが数々の芝居をやっていた場所だってのはきいたことがある。私はここ5年くらい芝居を見ているような新参者なので、そんな事情は知らないのだけど、このホールで演劇をやるってのは、とある人にとっては憧れであるとともに、目標なんだろうなと思ったりする。私がここで見たものというと、中村有志ワンマンショーと、大宮エリー、ヨーロッパ企画とか、そんなもんだったりする。

今回の客演は豪華で、
主役には高田聖子(劇団☆新感線の看板女優)
重要な脇役に、廣川三憲(NYLON100℃)、
村木仁(おにぎり)が出ている。
村木仁は劇団☆新感線に良く出ていたと思うんだけど、去年、座高円寺で「
おにぎり」という演劇ユニットを立ち上げて、すごい芝居をやってくれた。いのうえひでのりが小さい箱で小さい芝居の演出をやったってのも画期的だったと思っている。
話は戻って、この3人の客演のおかげで?
百千万(再演)以来の見たなかでは、鹿殺し「最高傑作」に出会えたと思っている。芝居には色々な要素があると思っていて「役者」「脚本」「舞台」「熱気」「完成度」「客席との一体感」みたいな沢山の要素があってのものなので、一概に何がいい、悪いってのはいいずらいのかもしれないけど、一言で言うと「実社会」と密接に関わっていて、バランスが良くてということである。

今回の舞台となったところは「
元町高架下」ここには2011年秋に「神戸ビエンナーレ」で訪れている。まさに、この芝居のとおり「復興の起爆」として現代美術を利用しようとしていた。


芝居は、フィンガー5なのか、ジャクソン5なのか、アイドルの栄枯盛衰と、夢に向かった挑戦と、歳の衰えと、世知辛い世の中との闘い、嫉妬と、夢を捨てないこと、そして、それを支援する人々の愛と友情と、日本的怪奇話が入り交じった秀作。
もし、まだ元町高架下商店街を知らない人はぜひ訪ねてほしい。

ネガヒーロー

プロペラ犬第四回公演「ネガヒーロー」

プロペラ犬公演は第1回から行っている。

旗揚げ公演「マイルドにしぬ」(200711 - 12月 作・楠野一郎、演出入江雅人、客演・河原雅彦
2回公演「ジャージマン」(200811 - 12月 作・楠野一郎、演出・福原充則、客演・設楽統バナナマン) 玉置孝匡(ペンギンプルペイルパイルズ))
3回公演「サボテニング」(200911 - 12月 作・楠野一郎、演出・倉持裕ペンギンプルペイルパイルズ)、客演・福田転球 猫背椿大人計画))
番外公演「アウェーインザライフ」(20106月 作・楠野一郎、演出・河原雅彦、出演・水野美紀 村上知子森三中) ソニン 小林顕作宇宙レコードコンドルズ) 伊藤明顕 市川しんぺー猫のホテル) 木野花

第4回公演はかなりそれまでの様相とは違っている。そもそも、水野美紀は
OCNで月1のエッセイを発表している。1年近くにわたって「桃太郎を執筆」していたので、ひょっとしてという予感があった「作:水野美紀」。こうなると「プロペラ犬を支える楠野君はどうなる?!」ということが心配である。
作者が舞台に出るというのは大きく2つのパターンがあると思っていて、ひとつが「詫間孝行」的「俺様」脚本。もちろん、脚本は自分を主役として一番光る形で描いている。これはこれで心地良い。他の役者は(多分)たまったものではないのだろう。でも、客は満足できる。そして、あれだけ「泣ける芝居」を作れる詫間孝行はすごいと思う。
ちょっとひねった形なのが「丸尾丸一郎」。出ているけど「演出はしない」。主役ではない(重要な役だけど)。
で、一番変わっているのは「長塚圭史」であろう。完全な脇役で登場している。
アフタートークとか、ボクたちの時代とかで長塚圭史が話しているのを見る限り、その芝居の空間で立ち会いたいということらしい。ボクたちの時代で「市川染五郎」「北村有起哉」と鼎談しているのを見て謙虚なのか、自己顕示欲旺盛なのかよくわからなくなったのは2011年の12月頃の話。
で、今回はプロペラ犬初の、水野美紀が主役ではない芝居。しかも、番外編同様、一編の物語となっている。オムニバスを見せてくれるのでもいいのに、頑張っちゃった感がひしひしと伝わってくる。

とにかくプロペラ犬については「いい」「悪い」ではなくて、水野美紀のアツイ思いを受け止められるかどうかにかかっている特殊な「舞台」だ。いや、これは舞台というよりは「生き様」なんだと思う。
第1回の入江雅人が演出となったことは、入江雅人の人生にも色々な与えたようだ(プログラムにはそうあった。2011年11月に入江雅人の一人舞台を見たが、なんでそんなことを再開したのか、劇団も再開したとか・・・)。
入江雅人=ウッチャンナンチャンファミリーということは分かっていたけど、ああ、こういう人なんだと、入江雅人を知ることができた、とてもいい舞台だった。その舞台をみたのも「シブゲキ」だった。
プログラムによると入江雅人は(も?)プロペラ犬旗揚げ公演に「アツイ」ものを感じたようで、第1回旗揚げ公演以降に、忘れていた何かを思い起こされたようだ。

で、肝心の本編は、2時間15分くらいのちょっと長めの舞台だった。
実力派俳優を配して、「根がヒーロー」は着々とすすんでいく。
根がをネガティブと受け取るとちょっと展開に誤解が生まれる。いや、ネガティブなことも充分に物語には登場している。

あれだけの配役に物語りがあるのだからそれをオムニバスにして、本編の暗転代わりに使って、展開すればいいのに、なんか、IOHの芝居みたいな流れにしてしまったのはちょっと勿体ない気がする。そして、話自体は、入江雅人一人芝居の最後のネタを思い起こさせるようなものがある。いわゆるストレートな芝居。もちろん、日本一のアクション女優だけに、殺陣はたっぷり。水野美紀と前田悟のアクションシーンは「恋人はスナイパー」以来のいい感じ。そして、この前田悟は寡黙で雄弁な語り部として大事な役割を持っていた。

第5回も楽しみだ。
(もっとも、今回の客入りは次回への大きな課題となるような気がする。立ち見も出るほどの客入りになると思い込んでいた私にとっては、意外な空席に意表を突かれた)
これだけ熱い思いをもって演劇(の全て)に関わっている女優は他に知らない。
(補筆:なんて書いていたら、
1月29日のTBS情熱大陸に登場予定と)。

寿歌

1月21日マチネに行く。

http://www.siscompany.com/03produce/36hogiuta/index.htm
出演:堤真一・橋本じゅん・戸田恵梨香
演出:千葉哲也
北村想・・・有名な劇作家みたいなんだけど、初めて見る芝居だった。
この芝居は、色々なことを言っているのも分かるし、こういう終末的舞台は嫌いじゃない。そういえば、こんな芝居を見たなというのは、イキウメ「太陽」が似たテーマを引きずっているのかと思うけど、イキウメは絶望と希望が入り交じった感があって、少し救いがあった気がしている。その一方で、この「寿歌」には絶望の先にある「救い」は見た直後にはまだ分からない。
プロローグの部分は新たなる書き下ろしらしく、確かに、橋本じゅんがナニモノかということと、あのプロローグと、エンディングを合わせると希望というか、3.11以降の救いのようなものが見えてくる感じがする。
ともあれ、80分という短い時間に盛り込むのが大変だったのか?舞台は綺麗だった。橋本じゅんの真面目な演技もよかった。堤真一の台詞トチリも含めて良かった。戸田恵梨香も頑張っていたと思う(多分、吉高由里子がやったらもっと良かったんだろうなぁと密かに・・・)。

谷賢一

谷賢一の「作」の芝居はまだ見たことが亡い。
今まで見たのは2つの「演出」ということになる。

「国道58号戦線異状なし」
国道58号戦線の解散公演を谷賢一が演出していた。
ハマカワフミエ、とってもいい女優だと思っている。
作者が演出したものを見ていないので、どう独創的かは今ひとつわからなかった。
オキナワの話で、オキナワを熟知しているような、オキナワとかけ離れたような、不思議な感じがした。

モーリー・スウィーニー
2011年に見た演劇で最高だった。
演出の見事さに感服した。
最後の暗黒で5分くらいであろうか、南果歩の独白のシーンに痺れた。
基本的に相島一之が好きな私は彼のその演技にちょっと涙した。
物語そのものは「レナードの朝」を思い起こさせるものがあるが、


確か、どちらかがどちらかに影響を及ぼしていたはずだ。
で、
1月に
「テアトル・ド・アナール」
を立ち上げ
「ヌード・マウス」
を公演する。
http://www.nudemouse.jp/annales.html


ミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」

ミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」
featuring PSAM®
1月15日(日)13:00開演
http://www.spamalot.jp/

2012年初の芝居は「ミュージカル」になった。

買った理由は「モンティ・パイソン」「池田成志」「戸次重幸」「ムロツヨシ」「皆川猿時」というなじみの役者が気になって。
ミュージカルということは殆ど意識していなかった。
結論からはミュージカルも面白いもんだ。
ってことで、まさにタイトル通り「スパム」が沢山な芝居で、本編はあっという間に終わるような話なんだろうに、寄り道が沢山。肝心の歌姫の登場はちょっと・・・。彩吹真央なる元タカラジェンヌの唄いっぷりにちょっと惚れた。
ともあれ、主役の「ユースケサンタマリア」は置いておいて。
 
池田成志 この中では一番その「芝居」を見ている。さすが、どんな芝居も全力で取り組む。圧倒的だった。
劇団新感線の「鋼鉄番長」のアキレス腱断裂前の回を奇跡的に見ている。「どんな芝居も全力で取り組む」というその姿勢に好感を持った。(あげくにであるし・・・)。他では、「49日後」「流れ姉妹」あたりが印象に残っている。そんなこんなの集大成として(なこと言っては失礼か)見るのもまた楽し。
 
戸次重幸 2010年の最高傑作ドラマ「宇宙犬作戦」で存在を知った。以来、久しぶりに見かけたけど、その迫力は出し切れていなかったと思う。片桐仁みたいな名バイプレイヤーで光るタイプなのか。この濃い人たちの中では霞んでしまうのもやむなしか。
 
ムロツヨシ 「サマータイムマシンブルース」以来、気になっている俳優。ムロ式も結構見ているけど、テレビにも最近登場している。全力で取り組んでいた。ムロツヨシは唄は得意なのか、全力で下手なのか、本当のところを知りたい。
 
皆川猿時 初めてみたのはR2C2メカロックオペラのファミレス店長役が多い役者として紹介されていた。流石にエネルギッシュだ。

見てわかったのは、ミュージカルというのは脇役がしっかり唄ってくれるといい唄になるってこと。メインの役者は頑張っていればいいってことで。

で、この話は「
アーサー王伝説」がベースになっている。
アーサー王伝説とは・・・。

学生演劇

私には全く縁の無い(興味なかった)学生演劇の歴史(その、部室のあるあたりを大隈裏と呼ぶらしい)を手塚さんが書き始めている。
http://ameblo.jp/corichtezuka/entry-11135167567.html

2012年の観劇計画

2011年には演劇を54本みたことになっている。
2011年の芝居の記録はこちら

2012年にやる芝居はよくわかっていないけど、
こんな芝居は見に行きたい。

劇団☆新感線
 シレンとラギ
 
http://www.shiren-to-ragi.com/index.html
 久々の中島かずき+いのうえひでのりによるいのうえ歌舞伎

劇団鹿殺し
ヨーロッパ企画
劇団本谷有希子
PPPP
ナイロン100℃
あたりははずさないでおきたい。

女体シェークスピアシリーズ
入江雅人
ムロツヨシ
シティボーイズ
も外せない。

葛河思潮社のシリーズがあるのならこれも見ておかねばならない。
猫のホテル(千葉雅子)もあるなら見てみたい気分。
谷賢一は天才だと思うので、彼の作・演出ががあるなら見てみたい。
劇団「国分寺大人倶楽部」なんかも見てみたい。
イキウメ
前川知大)も気になる。
青年団はどうしたものか。アゴラという空間は魅力的なんだけど。あまりその劇団を観に行ったことはない。
野田秀樹というか、NODA MAPもどうしたものか。

動物電気は時間があえば観に行きたいか?どうする?という感じだけど、ああいうのはやっぱり見続けることが大事そうだ。

今年の観劇ライフは「プロペラ犬」から始まる。
さてどんなことになるやら・・・。