鑓の権三
「鑓の権三」
もともとは、
ETERNAL CHIKAMATSUを見て
心中天網島から続いた
江戸時代ってのは「思ったより明るい」時代だと思っていた。
(そういうはなしをきいてそんなことを思っていた)
が、
山中貞夫の
「人情紙風船」
の絶望的な世界観
古典落語のなんとも絶望的な芸風に、
今と同じような末期感があることがわかってきた。
心中天網島
谷賢一脚本
デヴィッド・ルヴォー演出
「ETERNAL CHIKAMATSU」
を観劇して、見てみたいとおもった。
そして、気になってのは
「鑓の権三」
へと続くことになる。
びっくりしたことは、
ほぼ、「ETERNAL CHIAKAMATSU」が「映画 心中天網島」と同じってこと。
そりゃ、原作同じなんだからそうでしょうということなんだけど。
やっぱり、1969年の映画、当時キネ旬で一位だったとしても「古くさい」
よく、学生が「白黒映画」を「古くさい」と言うのを「鼻で笑っていた」私は、愕然とした。
(同じ感想を持ったから)
まさか、こんなことなんだとちょっとショックを受けている。
やはり「作り直す」ということは大事なのかもしれない。
当時としては斬新な手法だったんだろうけど、
今となっては使い古された技法にしか見えない。
・メイキングが冒頭にあって、劇中劇的になっている
・セットであることを堂々と使っている
・黒子をそのまま画面に出している
浄瑠璃感を出したかったのだろう。しかし、長塚圭史がやる登場シーン以外で役者が演技を見ているような
そんな感じでもう一歩先を舞台は歩んでいる。
多分、歳をとったってことと、
数をこなしたってことで、
「古典」に新鮮さがなくなった。
「昭和」はリメイクされているということに気がついた
もちろん、
江戸時代が思った以上に暗い時代なんだということは、
「人情紙風船」を思い出したこともあって、
いや、実際、現代とかぶる途方もない絶望感は、今も昔も(元禄時代から)かわらないのかもしれない。
表現者はその絶望感を紡ぎ続けるしかないのか?
(私は表現者ではないけど)寂しい気持ちになった。