「具体」ニッポンの前衛18年の軌跡
従来になかったものを創り出さねばならない。
独創性を最も高く評価しなければならない。[中略]
一切が自由で、方向は道の領域であり、その発見だ。
[吉原治良 1963年]
2012年7月4日〜9月10日
新国立美術館企画展示室で開催された
「具体」ニッポンの前衛18年の軌跡
なかなか示唆にとんだ企画展だった。
国立新美術館が企画しそうな展覧会でもあり、らしくもない展覧会でもあった。
時代は「フルクサス」「ネオダダ」「ポップアート」とか日本発では「ハイレッドセンター」などと重なる。
昔、ICCでは「E.A.T」展を企画したことがあったが、これなどもまさに時代の裏側になってしまった活動体であり、ともあれ、なかなか面白い企画展だった。
1970年の大阪万博が日本の美術に与えた影響は随分といろいろあったようで、その後の「つくば博」「愛知デザイン博」なんかも大きな転換点となっている。その話は今度ということにして、このちょっと新鮮な回顧展はどんなものだったかというと・・・。
実は、現代美術の流れに対して、この「具体」がどのように特殊なのか(いや、特殊という必要ななくて、どのようなスタンスかということが分かればいいのか)は分からなかった。
(これからカタログを読むと分かるかもしれない)
「フルクサス」「ネオダダ」「ポップアート」とか「ハイレッドセンター」とか「ニューバウハウス」などと、どう違うのかは分からないし(伝えようとしていないから分からないのは当然であり、何が同じで何がちがうということを言うのはあまり意味がないし、それは美術史としては価値があるのだろうけど)、分かったからとして、ここに展示されている作品とは何ら関係ない話だ。
面白いかとうかだけで勝負すればいいので、そういうい意味ではここに展示された作品はどれも「楽しい」「面白い」。
現在へのメッセージとしては「大成功」だと思うのだけど、当時どのような評価を得ていたのかはとても興味深い。
そして、会場で放映されていた「日活ニュース(毎日新聞制作)」がなんとも興味深いニュースだった、なかなかウィットに富んだそして、本質を理解しているとしか思えないニュースであることにある意味驚きを持った。